【陸上競技部】「起紫改成」男子駅伝チーム・最終合宿に密着!選手&監督インタビュー①

◆2024年度 陸上競技部・男子駅伝チーム 夏合宿◆

7月31日~9月18日 長野・菅平、妙高

男子駅伝チームにとって、天王山の夏がやってきた。これから10月の箱根駅伝予選会、11月には初出場となる全日本大学駅伝、箱根駅伝予選会を突破した場合1月には箱根駅伝本選も控えている。つまり、この夏を制した者が来たる駅伝シーズンでの要となり得るのだ。今年は菅平・妙高にて1カ月半の夏合宿を行い、チーム全体がさらなるレベルアップをはかってきた。9月17日、菅平での最終合宿に密着した様子をお届けする。

練習前に集合する様子

「今まで以上にチームで戦う。練習メニューも大幅に変えた」。髙林監督の就任から5カ月。新監督が改革したのは、選手らの意識と脚作りだった。昨年までの合宿は、1次合宿から4次合宿まで徐々に人数を絞り込む方式。しかし、今年は1次から3次合宿までは選手・マネジャー全員で合宿を行い、最終合宿のみ選抜メンバーにて合宿をする。「個人間でレベル差はあるものの、(レベルが)上の子も下の子もしっかりチームの一員として良い練習を行う意識を作りたい」。皆で合宿を行うことで全体の一体感が向上。「箱根駅伝シード権獲得」というチームの目標に、意識を一つにすることができた。

トラック内を走る様子

体力面では選手らの脚作りを強化した。以前まではスピード重視の練習が比重を占めていた立大。前半は好順位をキープするものの、後半に脚が残っておらず失速するレースも数多くあった。「スピードも大切だが箱根駅伝の長距離では持続しなければ」。髙林監督が今夏の合宿にて重視したのは基礎練習と距離踏みだ。地道な距離走やインターバルを積み重ね、終盤にも粘り強く走ることのできる体力をつけた。昨年よりも走る距離を伸ばしたものの大きなケガ人を出さず、充実した様子の夏合宿が見て取れた。
夏合宿後、最初に待ち受けるのは10月19日に行われる箱根駅伝予選会。進化を遂げた立大駅伝チームの、実りの秋がいよいよ始まる。

(9月19日・平岡薫奈)

監督コメント
髙林祐介監督 「為せば成る」

髙林祐介監督

-監督就任からこれまでを振り返って
これまでは(駒大で)コーチをやっていて監督をするのは初めてだったので、その違いに覚悟はしていたのですが大変さを感じています。しかし、想像していたよりは彼らも上手く歩み寄ってくれている印象です。

-立大の良さとは
自分たちで主体的に考えてやっていくというのは、私が来る時も主将の安藤(コ4)から「そういうチームです」というのは聞いていました。そういった意味で非常に強みとしてあると思います。

-現時点での課題は
やはり箱根駅伝を目標にしていると思うのですが、これまでは箱根駅伝に出られていなかったので、まず出場するというのを目標にやってきました。出場できたその先の目標になって、彼らに聞くと「箱根(駅伝)の次はシードを取りましょう」と。10番以内に(シード権)を取りましょうとなった時に、やはり出るのとシードを取っていくというのとは練習の取り組み方や意識をもう1段、2段上げていかなければならないと思います。そういったところはまだまだこれからだというのは、着任していろいろ見させてもらったところで感じました。

-合宿での目標は
主体性という話に若干つながりますが、今まではどちらかと言うとしっかりやるべきことをやっていけば、結果的にチームの集合体として結果を出せるというところでした。しかし今年はよりチームというところを意識して問いかけています。(走力の)レベルを問わずチームが箱根駅伝でシードを取るというところを意識して、今まで以上にチームで戦うというのを去年と比較して強く言っています。あとは合宿の位置付けを少し変えていて、昨年まではどちらかというと合宿の時点で実戦的な練習が多かったのですが、今年に関しては実戦よりももう少し基礎的な練習を多くやっています。まずしっかりと土台を作ってから仕上げていこうという形をとっているので、今ちょうど合宿をはじめてから1カ月半くらいですが、ここまででやっと基礎、土台を固めてやってきたところです。ここから予選会まで1カ月、箱根駅伝まで2、3カ月のところでここからレベルを引き上げていくような練習をやるというのを彼らにも説明して取り組んでもらっています。

-6月の全日本大学駅伝予選会後には(練習における)走行距離が足りないとお話されていたが
4月からずっと土台やベースと言ってきたのでもう聞き飽きたとは思うのですが、やはりスピードがあるのは良いですが箱根駅伝の長距離で持続しなければいけない時には少し足りないところがあります。だからこそ持っているスピードを生かすために持っている土台やスタミナがあれば、余裕度があればよりそのスピードを活かせるという理屈を私の中では持っていて。夏合宿も同じような形である程度の考え方を伝えていて、べらぼうに練習を増やしたらケガや体調がおかしくなることもあるので、最低限このくらいはやってほしいいう期待値だけは伝えました。その中でしっかり状態やレベルに合わせて自分で選択をして、きちんと積み重ねられるような練習を自分で選択しながらやっていってねと。そうして1カ月やれたら必ず秋には良い結果でできるからと。騙されたと思ってやってみてではないですが、実際初年度ですのでなかなかそこは説得はできないので、一応その思いとかは伝えさせてもらって合宿に入っていきました。練習量は他の大学と同じくらいか少し少ないくらいですが、今までの彼らから比べては多くなったと思います。強度は少し落としていますがボリュームは確保できているので、それを上位の子たちだけではなくて全体の7〜8割くらいの子たちが私の想定してくれたところをやってくれて、逆に言うと頑張ってくれたなと思うくらいの出来でした。

指示を送る様子

-合宿を通じた収穫、課題
8月の1カ月の夏休みをほぼ全部使って合宿を行いましたが、昨年までは徐々に人数を絞り込んでいくような形で合宿をやっていました。今年に関してはそうではなく、8月は部員全員、マネジャーも含めて全員で来て合宿をしたので、チームの面ではよりそこは(レベルが)上の子も下の子もしっかりチームの一員として良い練習をしていく意識は作れたと思っています。想定通りのトレーニングは出来ましたし、ここまで大きなケガを出すことなく8月は終われたので順調にいけたと思います。
課題としては、(全体から)人数を半分くらいに絞り込み、ここから9月のところまで選抜しているのですが、埼玉県にいると暑さもあるのでコンディション作りなどは難しいです。夏は体重も落ちていきますし、春だったら鼻歌まじりで走れるような選手も夏だとふらふらになってしまう感じなので、練習のさじ加減が難しいです。暑かったりすると当然気持ち的にもだれてきてしまったりするので、合宿の時は集中していても、(埼玉県へ)帰ってきて気持ちの揺らぎみたいなところもあるので、その辺りが今のところは課題としてあると思います。

-合宿の選抜メンバーの基準は
そこはわかりやすくて、全体の合宿の中でもレベルに応じて練習のペースを決めているので、そこで上位でこなす選手をそのまま連れていく基本的に実力で決めています。

-合宿のチームの雰囲気は
走るメンバーはここから絞られますが、(メンバー争いに)実際に絡むか絡まないはさておき、しっかりチーム全体でまとまって練習を終えることはこだわっています。そういうことができてくるとチームとしても良くなってくるので、今日のポイント練習もしっかりとまとまって終われたので状態としても雰囲気が良い形でやれてきていると思います。
ここから埼玉県に帰ってからの3週間をどうするかが重要で、今は練習をコントロールしているので、調子的にもそこまで上げさせていないです。ここからグッと気持ちも身体も状態を上げていければ、良い勝負ができるのではないかなという感覚はあります。

練習後に笑顔で選手とコミュニケーションを取る髙林監督、写真左は安藤主将

-事前にお伺いした監督の注目選手は安藤主将でした
公私の要ではないですが、やはりキャプテンの中でも少し特別なキャプテンではないかなと思っています。私が着任する前の1月からの3〜4カ月は指導者なしで運営をしなければなりません。そのような経験をするのは一般的なサークル団体だとありがちですが、この陸上競技の駅伝でということはかなりレアケースだと思います。大変だったと思いますがそういう時にしっかり取りまとめてくれたのが安藤ですし、自分も走らなければいけない時に、チームの運営もしなければいけないところで。私が指導者として来たので、「自分のことに集中して大事にしながらやっていきなさい、自分のことをきちんとしていけばチームも良くなっていくから」と伝えました。その後は状態をしっかりと上げてくれて全日本大学駅伝の予選会も1組目で走ってくれて、最初のところでキャプテンがしっかり走るとチームとしても盛り上がりますし大事な存在です。だからこそ期待もしていますし、注目もしてほしいと思います。

-駒大のコーチ時代との違い
1番に違うのは決断しなければならないところです。覚悟はしていたので逆にやりがいとしてやらせてもらっているところはありますが、決断して責任を取らなければならないというのは監督とコーチの決定的な違いです。気をつけているのは、駒澤にいたから駒澤をそのまま輸入することはしないように気をつけています。私も駒澤のOBなので、そのような競技をしてきたり、育ち方をしているので、大事にしてきた部分は伝えていきたいですが、そっくりそのまま駒澤のやり方を真似してもなかなか活きてこないと思います。しっかりと目の前の人間や彼らの動きや表情をよく見て、彼らに合うようなところを上手く作っていけたらと思います。今のところは関東インカレや全日本大学駅伝予選会で少しずつですが、多少良いところはできていますし、成果を出して自分たちで実感するのが1番説明するよりも実感が湧くと思います。実感を得ながら私が着任して立教の駅伝チームというスタイルを作っていけると良いと思います。

-駅伝シーズンへ向けて

緊張しますね(笑)。(前回の箱根駅伝では)もちろん原田元総監督や林コーチにもやっていただきましたが、直接的な現場の指導者がいない中で選手らは順位を上げているので、勘弁してくれよという感じです(笑)。だから監督に来て順位を下げるわけにはいかないなというプレッシャーも感じています。すごい目標を掲げているなと就任時は思ったんですよ。来た直後に「今年は箱根のシード権と全日本に出場します」と言っていたので、最初は「この練習じゃ無理だろ」と思っていたところは正直ありました(笑)。ですが能力を持っている子たちですし、指導者がいない中で順位を上げ、当時の4年生も2人しか走っていなくて(本選経験者が)8人残っていますし、ポテンシャルは感じる部分もあります。何より、全日本大学予選会まで就任から2カ月の中でも、最初の1カ月、関東インカレくらいまでは「いやこれ全日本(大学駅伝)予選会突破はきついだろう」と感じていたのですが、やはりラストの1カ月切ってからの彼らの集中力はすごくありました。プレッシャーもありますが、どちらかというと彼らがどのような感じでチームを作っていって、どう戦うのかというのが楽しみですね。

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