【山岳部】未踏峰への挑戦!プンギ遠征直前インタビュー②

今夏、立教大学山岳部は青学大、中央大、東大の山岳部と合同で世界最高峰のヒマラヤ山脈の未踏峰・プンギへ挑む。立大から参加するのは横道(法4)・中沢(法4)の2名。①本来の登山の形の体現、②大学山岳部の存在とその活動を広めることを目的に、企画の立案から計画、実行まですべて学生のみで行う。9月11日に日本を発ち、60日間の壮大な旅へと向かう2名に事前インタビューを行った。

 

 

―具体的なトレーニング内容

中沢)1年程前に計画を立てて、この遠征までにどんなトレーニングをしようと考えながらこの1年間遂行してきました。何処に行ってこういう技術を身に付けようとか、体力強化のために何処の山に行こうとか。来月はクレバスレスキューの訓練を行うのですが、これもクレバスに対応できるような技術を自分たちで身に付けようと考え行っています。体力勝負になる感じはしているので、体力強化という面で各自ランニングや、直前になったら富士山に行って酵素順応のトレーニングを行おうと考えています。

横道)酵素が上のほうが薄いため事前に体をそこにならしておくことで、向こうに行った時の高山病が多分マシになるかなと。僕は去年高山病にだいぶ苦しめられて、結構厳しかったのでしっかり対策しないといけないなと思います。

 

―山を登る中で信頼関係や団結力は影響してくるのか

中沢・横道)絶対あります。

横道)もちろん1人が良いという人もいます。だから一概に登山は集団が良いとは言えないですね。ただ、僕らの肌感では信頼関係とかお互い協力し合うことで成功の確率も高まりますし、重要な要素なんじゃないかなと思います。

 

―2人はどのように信頼関係を築いてきたのか

中沢)大学1年生からずっと一緒にやってきているので、自然と。合宿になると2週間とか一緒にいます。

横道)お互いが「今辛そうだな」とか分かります。そういう時は荷物を持ったり、ペースを落としたりします。冬山とかは基本20~30キロくらいの荷物をもっていて、1年生でも20キロ、上級生で基本30キロ抱えて登っています。

笑顔でインタビューに答える中沢(=写真左)・横道

 

―山を登ることを辞めたいと思ったことはあるのか

横道)登っている間は、時々後悔します。真冬で手袋して、登っているときに「指の感覚ない」とか、風も強くてすごく寒い中で眉毛やまつ毛も凍って。そういう時とかは「どうして来たのだろう」と思うこともあります。

中沢)その瞬間はきついけど、帰ろうと思ったことはないです。「絶対に登りきる」という気持ちはあるけど辛いは辛いです。

 

―4年間続けてこられた原動力は何か

横道)やっぱり山が好きだからじゃないですかね。景色2割、達成感8割です。山登りは探検的な要素が強い感じがしていて、確かに日本の山はみんな行ってある所ばかりなのですが、小さい頃の裏山探検の最終進化版みたいな。「ここを超えたらどんな景色があるのだろう」という気持ちと達成感ですね。山の場合だと今辛いけれど、その先にもしかしたらまだ見たことない景色や、経験があるかもしれないというワクワクがあります。またマイナス20度、外気マイナスの15度の中、 寝袋で1週間寝続けていたら将来社会に出た時にちょっとしたことでくじけないだろうという一種の筋トレみたいな側面もあると思います。

中沢)達成感のために辛いことも我慢、頑張ろうと思います。

 

―山岳部に入部にして身について力

横道)いつも新入生が入部する時に「運動していなかったけど大丈夫ですか」という質問が来るのですが、元々私は文化部で吹奏楽系をやっていて、高校は帰宅部でずっとアニメ見ながら過ごしていました。 結局大学で山岳部に入ってから健康的なりましたし、上下関係や集団行動の大切さを学びました。特に山岳部に関しては個人競技ではないので、ある程度の上下関係を保ったまま部活に発展していかないといけないという、リーダーシップやマネジメント面でも学べました。あとは切羽詰まった状態でどちらかを選択しないといけない時に選択するリスク能力です。 例えばこの先あと2時間で天候がすごく悪くなるらしいが普通の老人ペースだったら3時間で往復できる。でも僕らは日々やっているから、もしかしたら2時間で戻ってこられるかもしれない。しかしそれで仮に戻ってこられなかった場合はどうするか、みたいな。上級生になると後輩を連れているので、下級生をちゃんと安全に返さないといけないっていう責任もあります。それらを全部比較した上でのリスク管理や、意思決定を行う力はつきました。もちろん体力と精神力も身に付きました。

中沢)今回の計画もそうですが自分でこうしたいと思ったことを形にする力はついたと思います。監督やコーチが登る山を指定することはないので、全部自分たちで調べています。だから今回のような計画もできましたし、そのために必要なことは何か、どんなトレーニングをするのかということを自分たちで能動的に考えて行うようになりました。

横道)いわゆるPDCAサイクルですね。結局僕らは山を計画する。それで専門家の話を実際に実行して、帰ってきた後に毎回振り返りを行う。そして次に向けて改善しようというサイクルを繰り返しています。少しずつ前進しながら後退している部分もあるかもしれないですが、自分たちで計画して見直してさらに良いものにするという習慣が1~2年前くらいから確かについてきました。そのサイクルがあるので僕らがいなくなっても後輩たちは今まで通り行っていけばよいと思います。

 

―意気込み

中沢)登頂という結果も必要ではあるけれど、もっと山岳部の存在というものを広めたいですね。

横道)100年前か80年前くらいまでは日本にもまだ登られてない山とかありました。冬の時期にどんどん登って新聞に載っていたくらい、すごく勢いのあるスポーツでした。しかし日本の山は全部登られるようになってきて、廃れつつあるスポーツだと思うので、今回の挑戦をきっかけに山岳部全体を盛り上げていきたいです。

 

(取材/編集・鈴木麻里奈、花井遥)

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