250号

立教スポーツ250号

2023年11月29日更新

【女子バスケットボール部】 洗練されたチームワークで激戦勝ち抜く 快進撃の立役者!頭角表すニューホープ 未踏の地へと踏み出す 創部史上初 1部昇格 

選手紹介【女子バスケットボール部提供】

#3マヤ 田平真弥(社2)

 

#5ユウ 川﨑楓佳(文1)

 

#6ツキ 原美月(ス1)

 

#11リサ 前田里咲子(ス1)

 

#29シン 志村璃子(コ4)

 

#8ルナ 柴山瑠菜(社4)

 

#10ユラ 西本有沙(法4)

 

#24リュウ 池口祐可(コ2)

 

#1ルリ 村上瑠莉(コ2)

女子バスケットボール部が新境地へと足を踏み入れた! 創部史上初の1部昇格。悲願のインカレ初出場から、わずか2年での快挙だった。リーグ内争いを乗り越え、挑んだ入れ替え戦。待ち受けた強敵に一丸となり立ち向かう。見事な逆転劇の裏には強固な団結力とたゆまぬ向上心があった。

希代の栄進

歴史的勝利を告げるブザーが鳴り響く。コートの中央には、歓喜に沸く選手たちの輪が瞬く間に広がった。
熾烈(しれつ)なリーグ内競争を勝ち抜き、たどり着いた入れ替え戦。年々記録を塗り替えてきたことへの重圧が立大の歯車を狂わせた。得意の連携プレーが発揮できず、パスがシュートにつながらない。山梨学大の勢いに圧倒され、前半は12点差をつけられた。ベンチに戻った選手を迎えたのは、窮地の中でも普段通りの仲間たち。「強気にいこう」。挑戦者の姿勢を取り戻し、後半戦へと臨んだ。
第3Qの幕開けと同時に、攻めの「全員バスケ」が目を覚ます。西本が壁となり、隙を狙って村上がシュート。守備の配置も変更し、相手の猛攻を耐え抜く。開始3分を無失点に抑え、一気に4ゴールを追加。見事に劣勢を跳ね返し、難敵にも必死に食らいついた。
試合終了まで40秒。1点優位の展開も、依然厳しい状況が続いた。追撃の手を止めず、全員でカウンターを仕掛ける。志村へパスが回るとゴール下まで攻め込んだ。焦った相手が詰め寄った瞬間、ボールはスリーポイントラインで待ち構えていた田平のもとに。すかさず打ったシュートは鮮やかな弧を描き、リングの中へと吸い込まれた。立大に軍配が上がる決定打。創部初の1部の座を勝ち取った。

才能の結集

 主将・柴山が追求したのは真の総力戦。目標達成に向け、組織力のさらなる向上に努めた。
「絶対に昇格したい」。4年生の熱意は新チーム始動時から共有された。部内で同じビジョンを描くことで、一体感が高まる。対戦中はベンチでも積極的な声出しを徹底。全員がより真剣に試合へ臨み、勝利を目指して団結するようになった。
飛躍への足がかりは新戦力の台頭にもあった。今年度のセカンドユニットは下級生が担当する。実力が十分な個々の才能を「全員バスケ」に応用させた。素早くパスを回し、誰もが得点源となる立大特有のプレースタイル。強固な連携のためには、選手間の相互理解が必要不可欠だった。ポジションに応じた立ち回りや、戦況に合わせた的確な判断能力を習得する。対戦の合間にも、パスの最適なタイミングや得点までの道筋を細かく確認した。互いの動作を瞬時に把握し、各々の持ち味を存分に発揮できる場面を演出。下級生のフレッシュさも加わることで勢いのある唯一無二の「全員バスケ」が完成した。
1部リーグへの新たな挑戦は物語の序章に過ぎない。来季からは強豪が結集する夢の大舞台へ。彼女たちに乗り越えられない壁はない。

(髙橋凜)

【スケート部フィギュア部門】華麗なジャンプで夢の全日本へ! ショート6位からフリーで挽回! 石田 東日本 銅 「自身の滑りができた」

華麗に滑走する石田(ス1、写真は別大会のもの)【撮影・別所ゆかり】

不断の努力

フリーを終えた石田は、緊張の糸が切れたように胸をなで下ろした。大健闘を見せ、つかんだ全日本選手権への切符。彼女の覚悟と底力が発揮された大会となった。
5歳から始めたフィギュアスケートも今年で14年目。大学進学後は学業との両立により、氷上練習は1日1時間のみとなった。限られた時間の中で行ったことは、ジャンプの反復トレーニング。監督と二人三脚で微調
整を重ね、大会前は曲に合わせた通し練習を繰り返す。演技全体で意識したのは、失敗した後にどう立て直すか。一つ一つの技だけでなく、全体の完成度を高めることに注力した。
迎えた大会初日のショートで鍵となるのは、3回のジャンプ技。上位に食い込むには、全てを完璧に跳ぶ必要があった。絶対に失敗できない状況に緊張が走る。最初のジャンプは、3回転フリップと2回転トーループのコンビネーション。重圧で体がこわばり、着氷時に詰まってしまう。崩れた流れが後半に響き、結果は6位。全日本選手権への出場権利を得られる5位に初日で出遅れる形となった。自身の実力を発揮できなかった悔しさを糧に、2日目での巻き返しを決意する。

勇猛の賜物

自身の特徴は、力感がなく伸びのある滑り。自分らしさを発揮するため、フリーでは『I belong to me』を選曲した。「1つでも順位を上げたい」。 前日の結果を受けて演技構成の修正を決意した。中盤の3回転ジャンプを、得意の2回転フリップと2回転ループの連続技に変更。わずかな練習時間で最大限の準備を行い、2日目に備えた。ピアノの音とともに演技が始まる。序盤の緩やかなテンポに合わせ、静かに滑り出した。曲調が盛り上がるにつれ、石田のスケーティングも軽やかに。順調な流れのまま、構成を変更した箇所へ差し掛かった。勢いよく踏み切った高さのあるジャンプは完璧に成功。2連続の大技で魅せた美しい着氷に、客席から拍手が沸き起こる。その後の技も着実に決め、氷上を薄紅色の衣装が華麗に舞った。最後は完璧なコンビネーションスピンで締めくくる。ノーミスの演技に彼女は笑みを浮かべた。

結果は116 ・62点で総合3位。自身初となる全日本選手権への出場権を獲得した。12月に来たる夢の舞台に向けて、自分の描く最高の演技を目指し続ける。石田の勢いは止まることを知らない。   (飯嶋園子)

メダルを手にほほ笑む様子(写真右)【提供・スケート部フィギュア部門】

女子ラクロス部】体力強化が実を結び、勝ち星を挙げる 流れに乗り全国大会へ! 関東学生 準Ⅴ 「自分たちのペースで戦えた」

得点を決め、喜び合う選手たち【撮影・影山凜】

強豪集う関東リーグで2年連続の準優勝! 明大戦では最終クオーターに得点を重ね、接戦を制した。勢いに乗り今年も全国大会への出場権を手にした立大。常勝校として活躍し続ける背景には、部員一人一人の徹底的なフィジカル強化があった。

引き寄せた銀

試合終了後、互いをたたえる選手たち。客席を埋め尽くす応援団に笑顔で手を振り、ともに喜びを分かち合った。
迎えた準決勝で立ちはだかったのは、スタミナのある明大。3年間勝ち越しているものの、実力は五分。決して油断できる相手ではなかった。序盤はリードするも、立大の戦術を徹底的に分析した明大が応戦。両者一歩も譲らず、同点で最終クオーターに突入した。

厳しい戦いでも、ピッチに立つ選手たちに焦りはなかった。甲斐にボールが渡ると、一気にゴールまで運ぶ。相手の守備に囲まれても臆することなく長身の石井につないだ。最後は豊田(コ3)が正面からシュート。素早いパス回しで勝ち越しに成功した。勢いに乗った立大は、相手の集中力が切れてきたところを突く。途中出場の山田(コ3)が、得意とする右サイドからの攻撃で点差を広げた。その後は反撃を受けるも、ゴーリー・中石が懸命に守る。勝負どころでフリーシュートを止めるなど守護神が底力を発揮し、接戦を制した。
「ここからが正念場」。 2年連続の全国大会に大きな期待を膨らませた。

越えるべき壁

「まだ強くなれる」。 成長の契機となったのは、昨年の準決勝。強豪・日体大との一戦を経て体力不足が浮き彫りとなる。終始衰えず、コート全面を使って守る相手。後半にかけてスタミナ切れしてしまった。
弱点克服のため、部全体で体力向上に取り組む。300㍍シャトルランから50㍍ダッシュまで幅広い走り込みを行った。筋力強化においても、上半身と下半身に分けて徹底的に鍛える。毎日の積み重ねで、相手に競り負けない体を作り上げた。
強度が高まり、今まで以上に過酷さが増す日々の練習。真夏の猛暑日にも行われる地道なトレーニングに何度もくじけそうになった。それでも諦めない理由は、この仲間たちと日本一になるため。同志の存在が励みになり、辛い時も乗り越えることができた。絆を一層深めながら取り組んだメニューの効果は、徐々に現れ始める。準決勝・明大との一戦では体力を切らさず終盤で得点を重ね、白星をつかんだ。
「次こそは優勝したい」。 準優勝では満足せず、彼女たちは努力し続ける。関東、そして全国制覇へ。さらなる飛躍を目指して一歩踏み出す。(影山凜)

 

相手をかわす安達(観4)【撮影・影山凜】

 

ゴールを守る中西(現4)【撮影・影山凜】

ボート部】堅忍不抜の想いで栄光に輝く! 競り合いに勝利し喜悦の日本一! インカレ 男子フォアⅤ 「死力を尽くして最高のレースができた」

息を合わせ力漕する選手たち【撮影・丹能萌絵】

創部史上初の快挙達成!! 第50回全日本大学ローイング選手権大会において男子フォアと女子ダブルスカルがW優勝を果たす。5月の全日本では感染症による棄権が相次ぎ、思うようにいかなかった立大ボート部。リベンジを遂げるべく、今大会に臨んだ。主将・和氣の率いる立教健児たちが戸田で力漕を見せる!

一念発起

2年ぶりの学生日本一。受け取ったトロフィーには、選手たちの満足げな笑顔が映った。日本記録を保持する立大にとってプライドのかかる本種目。未経験者2人を含む精鋭たちが、ボート部の威厳を見せた。
日本一までの道のりは決して順風満帆ではなかった。出場3カ月前、主力となる山田が腰を負傷。出場さえも危ぶまれる中全員がそろって乗船できない日日が続いた。
先の見えない状態のチームを支えたのは主将・和氣。臨機応変に対応すべく練習方法を自分たちで提案する体制をとる。改革に応えたのは療養中の山田。効率よく舟を進めることを重視して、経験の差をなくす独自のメニューを編み出す。海外のトップ選手の動画を研究し、技術力の底上げを図った。各個人でも筋力トレーニングや食事管理を、怠ることなく鍛錬に取り組む。陸上での地道な努力が、水上パフォーマンスの向上へと繋がった。
「最後の大会で結果を残したい」。 引退を控えた和氣の試合に対する熱い執念。献身的に支えてきた主将に恩返しするために、クルーは限られた時間を優勝に向けて尽力する。インカレに懸ける思いが、頂点の座をつかむ確信に変わっていった。

全身全霊

決勝レースを目前にして、緊張が高まるとともに胸を躍らせる選手たち。学生日本一を目指す彼らの前には、準決勝首位通過の早大が立ちはだかった。
開始の合図でオールに力を込める。立大の強みはスタート時の発進力。最初からスピードを上げ、500㍍地点まで先頭を切って漕ぎ進める。しかし、迫る早大との差は1艇身分にも及ばない。1500㍍で追い抜かれるも、クルーに焦りはなかった。「日本一を目指してやってきた」。 この4人で挑める最後のチャンス。出だしの勢いそのままに、自信を持って舟を進めた。「行こう!!」。 残り200㍍で山田が叫んだ。その一声で全員が動きを合わせ加速する。トップスピードで漕ぎ続け、最後まで死力を尽くしてゴールを迎えた。早大とほぼ同時で完漕し、映像の判定を待つ。結果は0・09秒差で立大の勝利。熾烈(しれつ)なレースを勝ち抜き、念願の目標を達成した。
有終の美を飾った和氣は、ボート部の未来に期待を寄せた。「歴史を塗り替える」。 新主将を担う川瀬は次なる舞台へ意気込む。彼らの力漕の勢いは止まらない。    (玉野礼恵)

トロフィーを掲げる様子【撮影・丹能萌絵】

洋弓部】磨き抜かれた技術で功績を射抜いた 勝利の英名を連ねる インカレ 徳永Ⅴ 「喜びが込み上げてきた」

弓を引き、真剣な表情で的を見据える徳永【理3、提供・洋弓部】

自然の中に設置された的を狙うフィールド競技。学生最高峰の舞台で徳永祐未が表彰台に立った! 強豪選手との射ち合いを見事制し、昨年同大会準優勝者の意地をみせる。金メダルの裏にはエースの不断の努力があった。

鍛えたスキル

全日本フィールド選手権において銅メダルを獲得したエース・徳永。実力はとどまることを知らず、今回のインカレでも優勝を成し遂げた。
世界選手権覇者・大貫(17年度卒)をはじめ、全日本出場選手を多数輩出する立大。フィールドの強豪校として名をはせてきた。憧れの先輩らの後を追い、徳永はさらなる技術力の向上を志す。練習では大貫が共にコースを回り、プレーの要所を教示。指導で見つかった問題点は、矢を下から見上げて射る癖があることだった。地形を生かした会場で、場所ごとに的への距離や高さが異なるフィールド競技。傾斜を見上げて射つ際、顎が引けていると姿勢が崩れる。そのため余計な力が加わり、体に大きな負荷がかかっていた。課題を解消するべくフォームの改善を行う。顔を上げ弓の引く方向を変えることで、的の正面を捉えることが可能になった。射ち方の修正により身体的負担が軽減。以前に比べてプレーで余裕が生まれた。
全日本から一回り成長を遂げた徳永。磨き上げた技術を自信に変え、決戦のインカレへと臨んだ。

捉えた金

迎えた大会本番は、予選を2位で通過する。準決勝ではベテラン選手に勝利。順当に優勝決定戦へと進んだ。
最終戦は予選と異なり、制限時間が設けられる。対戦相手は予選1位通過の塚本(早大)。 行射の速さと正確さの両立が勝利の鍵を握っていた。射ち方の改善で体力の消耗が抑えられ、試合で余裕が生まれる。1点優勢で迎えた最終ポスト、的の中心を狙い軽やかに矢を放つ。徳永が矢を先に射ち終え、勝負は塚本の一射で決まる展開に。固唾(かたず)をのんでライバルの動向を見守った。緊張感が漂う中矢は徳永を1点下回るポイントに刺さる。わずか2点差で見事勝利を収めた。
優勝後、周りから賛辞を受けて上った表彰台。張り詰めた空気から解放され、祝福の雰囲気に包まれる。金メダルの重みを感じ徳永は喜びをかみしめた。
今大会で学生王者の称号を獲得。来年は世界選手権への出場を目指す。「世界へ向けた争いに加わっていきたい」。 彼女のまなざしは既に次の舞台を見据えている。   (前原梨乃)

満面の笑みを浮かべ、賞状とメダルを持つ様子【提供・洋弓部】

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