【クローズアップ】対談企画~立教新時代を築く選手たち~陸上競技部 小川陽香・スケート部フィギュア部門 石田真稜 ③~大舞台でのメンタリティ~

今年で立教大学は150周年。この企画では節目の年をけん引するアスリートたちを対談させていく。記念すべき第1弾はルーキーイヤーで躍動した新2年生2人に迫った。(このインタビューは2024年3月19日に行われたものです)
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♦メンタリティについて♦

―次に、スポーツの心構えについてお聞きしたいと思います。二人にとって辛い時もしくは辛い時はありますか?

(小川)練習しているのに結果が付いてこない時が一番きついですね。自分の調子とか体調とか足の怪我明けもしくは怪我をしている時とかは思うように練習できないです。逆に今までできていたのにこのタイムで走れないとなると、力が落ちていると思いとても不安になります。そういう時は辛いかなと思います。

(石田)私はスケートができる、できないといった部分がはっきりしています。できないともちろん落ち込むし、試合でも点数と順位が明らかになるので、今までできていたのに同じレベルくらいの子と差をつけられると精神的にもやられるなと思います。

 

―タイムや順位など目に見える結果で辛いと感じる部分が多いなと感じました。それでは、そのような時にモチベーションを保つために取り組んでいることはありますか?

(小川)私は結構一人で抱え込むと、マイナス思考になるので、そういう時は部活の同期に相談します。同じ競技をやっているからこそ、分かってくれることや励ましてくれることが力になりますし、きつい時に辞めると後で後悔すると思っています。

(石田)私は、次に引きずりすぎないことを考えています。悪かったから練習というわけではなく、適度に休んでリフレッシュする、気にしすぎないことを意識しています。また、コーチや監督に相談し直してどこが悪かったかをすぐ聞くことを大切にしていています。同じスポーツやっている友達に話して悩みを聞いてもらうことも良いなと思いました。

 

―石田さんの話で「後に引きずらない」という話が出ましたが、小川さんは後に引きずらないタイプですか?

(小川)あまり引きずるタイプではないです。次の大会になると前回こうだったという不安が蘇って思い出します。緊張が大きくなることもありますが、それが結果に影響することがないので気にしていないです。

 

―続いてプレッシャーを乗り越える方法について伺いたいです。まずは今年度体験した大舞台でプレッシャーを感じましたか?

(小川)自分はどんな大会でも同じくらい緊張します。ただ、今回初めて世界大会に出た時は今まで出たことがなかったので、自分は挑戦者だという気持ちで恐れるものがなく、チャレンジャー精神でポジティブに臨めました。逆にインカレに出た時は今まで全国大会に出てきた分、結果を出さなければいけないとか本来の実力ならばここまでいけるはずだという気持ちを抱えます。周りは別に当たり前だとか思っていませんが、自分が勝手に思ってプレッシャーをかけています。自分はどんな大会でも緊張しますが、緊張が結果に左右するタイプでもないので、気にしないようにしています。

(石田)私は今年初めて全日本を経験して、会場の雰囲気とかお客さんの温かさが違うなと感じました。緊張はしましたが初めてなので結果を気にせず楽しもうと一番に思っていたので、割り切れたと思います。ただ、私もインカレとか大学の名前がかかっていて、だいたい同じメンバーが出る大会に出場する時は結果の目処が試合前につくので、緊張感はありました。

関東インカレに出場した小川。この時1年生ながら4位入賞を果たした

―そのような緊張をどのように乗り越えましたか?

(石田)私は過去の動画を見返して、自分なら行けると思い直しています。緊張を良い意味でも使おうと思って、制圧されすぎず、良い方向に向かうようにしています。

 

―大舞台に出るにあたって、色々なサポートがあったと思います。そんな周囲のサポートの中で特に感謝していることはありますか?

(小川)自分は長距離をやっているので、とても長い間走ります。100㍍とは違って20分30分走りますが、中盤辛くなった時に名前を呼んでもらったり、声をかけたりした時は頑張ろうと思いました。そういった部分で同じチームの仲間がいるありがたみを感じました。関東の大会だと直接応援してもらえますが、地方や海外の大会だと来られないこともあります。それでも、メッセージをすごくたくさん送ってくれて、それを見ると頑張ろうと思えます。自分を応援してくれる人がこんなにいるのかと励みになっています。

(石田)私は、毎回の試合でみんなが応援メッセージをくれたり、全日本に出た時にOBOGの方々が応援の旗を作ってくださったり、それを持って応援に来てくださった先輩方もいたりと、結構身近に応援してくれる方がいることはありがたいと思いました。普段の試合も応援必須なのでみんな来てくれるので、盛大に応援をしてくれます。演技前にみんなとハイタッチしてから演技に臨むというような光景が結構あって、それが今までなかった大学の部活としての試合に臨めた楽しさだと思っています。

 

―石田さんの話の中で応援メッセージを書いてくれたという話があったのですが、小川さんの所属する女子長距離でもそういったことはありますか?

(小川)あります。レースの日は時間によってお昼ご飯を食べずに軽食で補いますが、そういった時に直接メッセージを書いてそれをもらっています。関東女子駅伝の時はバレないように応援動画を撮ってくれてその日の朝にグループに送って見ていました。

 

―続いて石田さんに質問です。先日の選手権で多くの人が見られたと思いますが、その中で自分の声が聞こえた時どのような感想を持ちましたか?

(石田)メッセージをくれるということも嬉しいです。ただ、自分の応援となった時に声で届けてくれて、ジャンプをして成功したら拍手をし、失敗してもがんばれ!と叫んでくれて身近に感じる声の応援は私も頑張ろうとなるのですごくありがたいです。

仲間の声援もあり、全日本大会ではフリー進出を果たした。

♦目標と夢について♦

―最後のトークテーマは目標と夢です。二人の今後の目標と夢はありますか?

(小川)近い目標でいえば、去年U20として出場した日本選手権に今年から大人の方で出場します。去年は出場の標準タイムが切れなくてアンダーとして出場しましたが、今年は去年の自己ベストでそのタイムを切って、出場できるので次は日本選手権入賞を目標にしています。大学4年間の目標は、日本選手権で3位に入賞した道下先輩に負けないよう、表彰台に上りたいです。3年生になったらユニバーシアードという世界大会があるので、そこに出場することが目標です。

(石田)私は、1年生の時に多くの試合を経験しました。カテゴリーもシニアに上がるので、全日本含め色々な初めての大会に出場しました。初めての大会で楽しもうとか出場できるだけでありがたいと思っていましたが、自身の結果に悔いが残りました。もっとこうできたと思える試合が何個かあって、来年は結果まで重視して試合に臨みたいです。

 

―それを達成するために現在取り組んでいることはありますか?

(小川)一つ一つの練習の積み重ねが一番大事だと思います。練習だけではなく日頃の生活習慣、例えば早寝早起き、しっかり栄養バランスを考えたご飯を食べることです。休みの期間に入ると生活習慣乱れたりしやすいですが自分はスポーツをしているアスリートだという自覚を持って行動することが大切だと思っています。

(石田)私は、新たにレベルが高い技を習得しなければ、上には行けないと感じました。大学生になって休み期間で自主練をしなければいけませんが、それをサボることが増えて、新しい技を習得するためにも練習時間を増やさなければいけないと感じました。そのため、同じスケートリンクの子とかと次の日の集合を決めて約束しています。お互い滑りに行かなければという気持ちになれるし、行けば二人で頑張れるしとても切磋琢磨(せっさたくま)できています。

 

―石田さんの話で新しい技に取り組んでいるという話がありましたが、小川さんも冬季練習で新しいことに取り組むことはありますか?

(小川)私たちの練習は何㍍を何秒で走ろうとか何本やろうという設定の仕方です。大学入って最初は1500㍍や5000㍍をやっていましたが、駅伝シーズンに入ると10000㍍をやらなければいけなくなって、この冬期はスピードというより持久力を重視してやっていました。でも、この冬が終わってまた夏のシーズンはまた1500㍍、5000㍍のような短い距離をやっていこうと思っています。そうするためには、持久力よりもスピード系の練習を取り入れないとスピード感が戻りませんので、最近はまた短い距離の練習に戻してスピードを上げる練習を増やしています。

 

―次の試合に向けての意気込み

(小川)自分は関カレが最初の大きな試合になります。去年は2位で思っていたよりも良い成績で終わりました。ただ、今年2年生になって去年より良い結果を出さなければいけないというプレッシャーはあります。そこまで気にしすぎずにでもやるからには去年の結果を超えられるようにしたいと思います。

(石田)私は春・夏にそこまで大きな大会がなくて新しい技を習得している段階です。試合でできる程習得はできていませんが、試合で挑戦してみることが一番やるべきことだと思っています。試合でやるとやらないで大きく変わってくるので、失敗してもいいのでこの夏の大会で実践したいです。

♦最後に♦

―この対談企画は今年度入部する1年生も見ていると思います。そういった子たちに何かメッセージはありますか?

(小川)立教大学は体育会全体として自由を売り出していると思います。でも、自由だからこそやりたいことが見つかりますし、学業との両立はすごく大変ですができるようになると将来にも繋がってくると思うので頑張ってほしいです。

(石田)大学に入ってみて、部活でも授業でも新しいことは多いです。でも、最初なのでそんなに気負いせず、楽しんでやることが大事だなと思っているので一つ一つの時間を大切にしてほしいです。

 

―では最後にお互いに向けてメッセージをお願いします。

(小川)私の学部の一人がフィギュアスケート部でかなちゃん(工藤佳奈選手=済2)という子がいます。いつも朝練をやっていて、2限の授業を一緒に取っている時にとても大変そうでした。スケートなので、場所と時間が限られていると思います。私は走るだけなのでどこでも練習ができますが、スケート滑る練習とか時間も限られて結構遅い時間に帰ることも多いので、友達が頑張っていることは聞いているので頑張ってほしいです。

(石田)私は、走る時は短距離派なのでそんな5000㍍とか10000㍍とかありえないなという風に思っていて(笑)そんな距離を普通に走っていることがすごいと思います。自分との戦いという部分が大きいですが、周りの支えとかも感じつつこれからも一緒に頑張っていけたらいいなと思います。

最後はお互いの健闘を誓い合った。

(4月30日 取材・大内貴敬、山口隼輝/編集・山口隼輝)

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