【陸上競技部】道下美槻選手卒業特集 「笑顔で締めくくった4年間の集大成 富士山女子駅伝」 ③~挑戦の先に~

昨冬、全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)に初出場を果たした立大女子長距離パート。このチームの中心選手の一人は1500㍍日本学生記録保持者の道下美槻(社4)だ。中距離種目が専門の選手だが駅伝では長距離区間を担う。本選に出場した選手の平均タイムは22チーム中最下位ながら、14位と躍進する結果に大きく貢献。そんな立大を初出場に導いた学生トップランナーが挑み続けた1年間を追った。
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歓喜の涙

道下が出走した2区は下り坂基調のコースであり、6.8㌔と2番目に長い区間。「緊張はなく、むしろワクワクしていた」と振り返るように、序盤から中距離で磨いた持ち味のスピードを活かし、選手たちを次々と抜き去る。全日本インカレ3000㍍障害の王者・山田(玉川大)と並走し、5つ順位を押し上げる区間9位の力強い走りで富士の麓を駆け抜けた。

富士山女子駅伝・2区を走る道下

数時間後、キャプテンの久保田(社4)が競技場のゴールテープを切った際には、チームメイトとともに感情があふれ出た。「今まで駅伝を楽しいと思ったことが少なくて。最後の富士山女子駅伝は初めて心から楽しいと思えたレースだった。仲間と諦めずに頑張って良かった」。4月の個人選手権で俯きながら流した悔し涙は、うれし涙に変わっていた。

競技場でキャプテン・久保田に笑顔で声援を送る女子長距離パート

「自分らしい走りをする」。そう言葉にし、自身と戦いを続けた1年。高校時代はプレッシャーで失敗を恐れていた駅伝も、初めての経験をともに乗り越えた仲間となら楽しむことができた。大学生活で一番苦しんだシーズンであったと語るが、諦めずに挑戦を続けた道下。最後のレースを歓喜の表情で締めくくっていた。

立大から世界へ

卒業後は実業団の積水化学へ進む。立大で会得した自立をし、高い壁に挑む力を活かすために、同じく自主性を重んじるチャンピオンチームへの入部を決めた。「今後は1500㍍日本代表を目指す。そして今回楽しかった駅伝をもう一度。出走メンバーを勝ち取れるように頑張りたい」。全力で走り切った4年間を終え、充実感に満ちたすがすがしい表情で将来の姿を語っていた。

過去に掲載した「立教スポーツ」1面を背に。今後の目標と座右の銘を書いた色紙を手にした

実業団1年目はまず1500㍍で4分1桁台を目標に自己ベスト更新を狙う。そしてクイーンズ駅伝でも戦えることを示したいと意気込んでいる。そして最終的に道下が目指すのは“日の丸を背負うこと”だ。大学時代から変わることがないの目標。2024年パリ五輪、2025年東京世界選手権の国際舞台のトラックへ。立大で多くの経験を積んだ学生最速ランナーは、世界への挑戦に向け新たなスタートラインに立った。

(3月26日/取材・編集 大内貴敬)

~~編集後記~~

ご卒業おめでとうございます!そして沢山の取材をさせていただき本当にありがとうございました。1年半前の夏、初めてのインタビューで「1500㍍ってどんな競技なんですか?」と初歩的な質問をしていた陸上未経験の私も、取材を重ねる度にどんどん陸上が好きになりました(笑)。またどんな試合の後も、明るく丁寧に対応してくださった姿は選手として本当に尊敬していました。
今年は苦しかった1年かもしれませんが、最後に富士山で笑顔で終わるレースを取材することができて本当に嬉しかったです!実業団に進まれても、またどこかの競技場で道下さんのレースが見れる日を楽しみにしています。最後になりますが、4年間本当にお疲れ様でした!

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