【ホッケー部男子】4年生卒業記念 「声」 澤井里菜
どんなときもチームを支えた声
取材に伺うと、いつもその声が聞こえてきた。「グランドイン◯分前です!」「試合開始◯分前です!」よく通るその声の主はチーム小林のチーフマネージャーを務めた澤井(文4)。その声でホッケー部男子を支えた。
高校時代は文化部。大学入学後すぐにコロナ禍に巻き込まれ、サークルにも十分に参加できず、大学生活にどこかもどかしさを感じていた。そんな中、1年次冬にホッケー部男子に出会う。「人のために頑張る経験がしたい。」そんな思いで新たな環境に飛び込んだ。
成長と不安
入部してすぐの2021春リーグ、立大は二部優勝、25年ぶり一部昇格の快挙を成し遂げる。秋シーズンには一部のレベルの高さに苦戦するも、入替戦でなんとか残留。そんな激動のシーズンに澤井は圧倒されていた。「とにかく自分が仕事を覚えて、チームに迷惑がかからないように、すごく必死だった記憶があります」。戸惑いながらも着実にマネージャーとして成長していった。
2年次は合宿班を任された。コロナの影響で久々の合宿。滞りなく選手たちが練習できるように奔走した。そんなシーズンだったが、チームは春に二部降格。降格後秋にも苦しい試合が続き、ホッケーの厳しさを痛感した。「どうやったら役に立てるんだろうとすごく考えた一年でした」。だからこそ代替わりには不安がつきまとった。最上級生のプレッシャーが背後にちらついた。
忘れられない試合を乗り越えて
そして迎えたラストイヤーの春リーグ。澤井には忘れられない試合がある。準決勝の武蔵大学戦、残り1分で追いつかれ、SO戦で敗北した。「あのラスト1分で追いつかれた試合は一生忘れられない」。マネージャーでは試合結果に直接関われない。悔し涙を流す選手たちを前に、無力感に苛まれた。
しかし、苦い経験を糧にチームは一つになっていった。「後輩たちが小林世代のためにと言ってくれて」。副将の平野(社3)、三宅(コ3)や川勝(コ3)を中心に「4年生のため」とチームがまとまっていった。澤井も3年で大きく増えたマネージャーたちを束ね、同期マネージャーの高橋(文4)と共に二人三脚でチームを支えた。
そして秋には武蔵大を下し、二部優勝を達成。その試合後のミーティングで澤井は所々言葉を詰まらせながら、目に涙を浮かべ感謝を述べた。「4年生をここまで連れてきてくれてありがとうございました」。2年前よりも嬉しくてたまらない優勝だった。
目標
澤井には目標にしていた2つ上の先輩がいる。マネージャーが1人しかいない中で学年をまとめあげた憧れの存在だった。「この人がいれば安心できる先輩みたいなマネージャーになりたい」。その姿を追い求めて3年間を駆け抜けた。「まだまだ足りないかなと自分では思いますが、いろんなマネージャーを見てきたOBの方にも成長したねと言っていただいて、頑張ってよかったなと思いました。」同期の小林(法4)からは「マネージメント能力でプレイヤーに集中できた」。佐藤(社4)からは「主務の仕事を一緒にやってくださって、自分が仕事をあんまりやらないタイプなので助かった。」、篠崎(文4)からは「チームのお母さんのような頼りがいがあった。」と信頼を寄せられ、気づけば憧れの先輩と肩を並べられるようになっていた。
澤井にとってホッケーとは
「私の大学生活に実りを与えてくれた大切な仲間たち」と答えた。「代が変わってもアットホームで暖かい雰囲気が続いているのが素敵なことです」。
新チームでは主将に就任する三宅(コ3)に期待している。「小林と違うタイプのキャプテン。最上級生の責任を背負って大変なこともあるけど、新しいカラーに変わるホッケー部に期待しています。」後輩たちへエールを送り、彼女はホッケー部を去る。あのフィールドによく響いた声は今後のステージでも生きるに違いない。
(3月1日 山岡雄一郎)