第241号
立教スポーツ241号
2022年4月2日更新
【ハンドボール部】53年ぶりインカレベスト8!一致団結!連携強化で成し遂げた!角田世代が大舞台で見せた全力送球
実に53年ぶりとなる偉業達成! インカレの大舞台で立大ハンド部が8強入りを果たした。
全員が主体性を持って行動し、強い結束力を誇る現チーム。磨き上げた堅守速攻を遺憾なく発揮し1回戦、2回戦を突破した。続く準々決勝では前回大会優勝の日体大と激突。敗れはしたが、1部昇格に続く快挙を成し遂げた。
走り続ける挑戦者
試合が終了した瞬間、全員が天を仰いだ。称賛の声を浴びながら、角田世代の4年間が終わる。半世紀ぶりの偉業は誰の目にも大健闘と映る結果だった。
1部昇格を決めた選手たちは勢いづいていた。トーナメントでの緊張感に包まれながらも、実力を発揮。順調にベスト8まで駒を進める。準々決勝ではベスト4進出を懸け、日体大に立ち向かった。格上相手にこれまで以上の重い空気が漂う。それでも主将・角田は「いいチャレンジ」と選手を奮起させた。
試合は互角以上の滑り出しを見せる。江幡(観2)と角田のシュートで2点を先取。練習で培ったチーム力で強豪と渡り合い大歓声が沸き上がる。しかし喜びもつかの間、相手の素早いパスワークを前に得意のディフェンスは崩壊。屈強な身体から放たれた力強いシュートがゴールを襲い、スコアは徐々に離された。猛攻を阻止できず気づけば16点差。巻き返すことは難しい状況だった。
劣勢に立たされるも反撃の機会を探り続けた。残り20秒でGK・後藤(営4)がシュートを防ぐと、すかさず遠投。必死に食らいつきカウンターからゴールネットを揺らした。最後に一矢報いるも試合終了。しかし全員が諦めず戦い抜き、全国の舞台で存在感を示した。
身に着けた一体感
「全員が一丸となり強いチームを作る」。昨年までは4年生のワンマン体制でインカレ初戦敗退が続いていた。勝利を渇望していた角田は、主体性を持ったチームへの変革を決意する。「FORTEam」をスローガンに歩み始めた。
新体制の基盤になったのは角田と副主将・杉山(コ4)だった。それぞれが影響力のある人物になるために誰よりも足を動かし、声を張り上げた。進化を求め続ける姿を見せて部員を鼓舞。さらに下級生とのパイプ役を担い、風通しを良くすることに努めた。2人の存在は精神的支柱として機能し、チームは変化。全員が積極性を持つようになった。
対戦校の研究をする時には学年を超えて意見が飛び交う。練習では連携の強化に重点を置き攻守ともに一体感が生まれた。角田がけん引して、杉山が支える。2人が部の両輪となり自由かつ統率のとれた体制が構築。勝ち星を積み重ねていった。理想としたチーム像は1年かけて体現され、インカレでの偉業達成に深く結びついた。
準々決勝で敗退し、終幕を迎えたが悔いはなかった。「やり切った」と角田は満足気な表情で前を向く。互いの活躍をたたえ合い、胸を張って会場を後にした。
(大澤創)
【陸上競技部】斎藤が関東学生連合主将として箱根駅伝3区に出場!最高峰の舞台でrストラン!地元平塚で宿願果たす
2年連続で紫紺のユニフォームが箱根路を駆け抜けた!上野監督の下、1年生から着実に力を伸ばしてきた斎藤(観4)。立大のエースへと成長を遂げ、夢の舞台へついに到達した。
関東学生連合チーム主将として3区・平塚に出場。最初で最後の大舞台で10年に及ぶ競技人生を終えた。
競技人生を懸けて
給水地点で主将・石鍋(法4)が言った「四年間ありがとう」。苦楽を共にした仲間の言葉が最後まで支えになった。
入学して間もなく、大学で箱根本選を目指す事業の発足を知らされた。「部の環境が一変してしまうのではないか」。長距離メンバーの心に暗雲が漂う。
同期と大学から帰った日、石鍋が口を開く。「俺はやる」。仲間の前向きな姿勢に感化され、本選に向け厳しい環境に身を置くことを決意。練習日は週6日に増え事業開始前より3倍長い距離を走った。自分の弱点や目標をノートに書き起こし、課題克服の練習を考える。高い意識で練習に取り組むことができた。その結果予選会の順位は着実に向上。1年生の12月から自己ベストを何度も更新した。
最後の予選会、4年生で出場したのは斎藤だけだった。馬場(現4)は「後悔のない走りを」と想いを託す。個人19位の好成績を残し、夢舞台への切符をつかんだ。
箱根を駆けて
箱根で陸上を引退する気持ちでやってきた。立大の代表、そして関東学生連合の主将として臨んだ競技人生の集大成。中継所に立ち、12位相当でタスキを受け取る。憧れの舞台を走る高揚感を胸に戸塚を出発した。
レースプランは序盤の下り坂で加速し、後半は速度を維持することだった。出走時点で前を走る中大エース・三浦との差は20秒以上。距離を縮めようとギアを上げるが圧倒的な速さに追いつくことができない。
それでも厳しい展開に動揺せず、落ち着いて自分のリズムを保った。15㌔地点まで順位をキープ。「ここを踏ん張れば4区で取り戻せる」と最後の力を振り絞る。全速力で駆け込み、次走の上武大・村上にタスキを託した。
レース後、「悔しさの一方で、箱根を走ることができた達成感もある」と晴れやかな表情で語った。トップレベルの激しい戦いを走り抜いた斎藤。10年に及ぶ陸上人生にピリオドを打った。
(木島昇大)
【サッカー部】プロへの道を”キリ”開いた!桐が史上初J2いわてクルージャ盛岡へ
大学から初のJ2リーガーが誕生した!桐蒼太がいわてグルージャ盛岡に入団。立大から3人目のプロ輩出だ。彼はいかにして夢を実現したのか。鍵となったのは、こだわり続けたドリブルだった。
試行錯誤の日々
「正直、ほっとしました」。内定が決定し、安堵の表情を浮かべる。逆境を乗り越えた先につかんだ栄光だった。
強豪校でインターハイ準優勝を経験し立大に入学。しかし大学サッカーの高い水準を痛感した。今までの相手よりも屈強な選手たち。培ってきた技術は全く歯が立たなかった。
サッカー選手としては決して大きいとは言えない。だからこそ得意としていたドリブルに活躍の道を見出した。体格で勝る相手と勝負するため試行錯誤を重ねる。特にこだわったのは間合いだ。足を伸ばしても届かない絶妙な距離を見極める。チームメイトと共に1対1の練習をする日々。何度も繰り返して、感覚を体に染みつかせていく。試合に出場したい一心でボールを蹴り続けた。
努力が成果として現れ始める。2年生になるとリーグ3戦目で公式戦初ゴールを記録。以降も順調に活躍を続け、瞬く間にチームの中心選手に成長を遂げた。
プロへと羽ばたく
3年生になると主力として3アシストを記録する。試合経験を積むことで果敢に挑むプレースタイルは一段と輝きを増していく。活躍を続けるうちにプロの世界を意識するようになった。
一層高いレベルで戦うため、課題となったのはフィジカルだ。トレーナーと共に体の特徴を分析。その結果、効率的な筋力トレーニングが可能となった。当たり負けしない強さを手に入れ、より積極的にドリブルを仕掛けるようになる。フィールド中盤からボールを持ち運び相手を抜き去る場面が増えた。進化を遂げた武器を活かしてアシストやゴールを奪い勝利に貢献する。
躍進の最中、1つのチームから練習参加の打診を受ける。いわてグルージャ盛岡の監督が、洗練されたドリブルに惚れ込んだ。正式オファーを見事勝ち取り、夢の舞台へとたどり着いた。「1年目から多くの試合に出場したい」。みちのくの地で駆け出したJリーガーの挑戦は始まったばかりだ。
(山岡雄一郎)