【スケート部フィギュア部門】主将・岩崎がインカレ出場決定!最高の舞台でスケーター人生の有終の美を飾る
驚喜の東日本インカレ優勝!インカレへの切符掴んだ
「絶対予選通過して、絶対インカレに出たい」。昨年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止。2年ぶりにしてラストチャンスとなる東日本インカレに懸ける岩崎(現4)の想いは強かった。
プログラム曲は、ミュージカル「エリザベート」の「I belong to me」。シングルでは自身初となるボーカル入りの曲で、「その壮大さに負けないように」と意気込んでいた。東日本インカレ第1の目標である予選通過のため、特に注力したのはスピンの練習。ジャンプよりも得点が高く、プログラムの一貫性を保つ役割もあるため成功必須だった。昔からスピンが苦手だという岩崎は、OBOGからのアドバイスをもとに懸命に練習を重ねた。
本番まであと1週間。今大会に懸ける想いの強さから、過去最大の緊張を感じていた。しかし、そこで岩崎を救ったのは同期の存在。互いに緊張を分かち合った4級・佐藤(異4)をはじめ、同期がいつも一緒にいてくれたという。「同期が寄り添ってくれたのがすごく大きかった」と感謝の念を語った。
迎えた大会当日。本番直前の5分間練習で、最初のループジャンプが1度も決まらない。身体に緊張が現れていた岩崎に、練習後帯同していたOBOG、監督が声をかけた。「気持ちよく滑ろうよ」。この一言がかなり大きかったという。「ああそうだ、気持ちよく滑れば自然と点数もついてくる。最初のポーズを取った時には、もう気持ちよくきちんとジャッジにアピールして滑ろう、と決心していた」。以前まで演技前は失敗しないようにと考えていた岩崎だが、気持ちよく滑ろうという考えに変化。決意を固めた彼女の演技が、人数制限のもと静寂に包まれたリンクで始まった。
直前練習で成功しなかったダブルループは見事成功。「しっかり決められたのはすごく大きな収穫」と、岩崎も満足の結果だった。最後に迎えるのは、多種の動作から構成されるコレオグラフィック・シークエンス。片足を上げる技、スパイラルが入る1番の見せ場だ。小学3年生から高校1年生の8年間、バレエで培った柔軟性が活かされた得意技のスパイラル。盛り上がる曲調に合わせて大きくのびやかに滑り、華麗なパフォーマンスを魅せ演技を終えた。
「予選通過できるかな、どうかな」。演技終了後、最初のコンビネーションスピンのキャメルポジションが認定されるか不安を抱いていた岩崎。しかし、そんな心配とは裏腹に結果は自己ベストの44.99、堂々の優勝を収めた。最大の勝因は、プログラムの完成度。技術点においては他の選手とあまり差が見られない中、滑りやプログラムの完成度を示す演技構成点において高得点を記録した。正しく、強みであるのびやかな滑りができた結果だ。優勝は彼女にとって予想外の好成績。佐藤と2人で抱き合い歓喜するほど、そのうれしさは大きかった。
予選通過という目標を達成し、インカレへと駒を進めた岩崎。無観客での開催だが、「人の心に残るような演技をしたい」と意気込む。感情表現と各技のレベルアップに重点を置いた練習で、45点の壁を越え悲願のインカレ優勝へ。待望の大舞台、学生フィギュア人生有終の美となる岩崎らしいパフォーマンスで魅了する。
大好きなフィギュアスケートと感謝の気持ち
フィギュアスケートを始めたのは中学1年生の頃。はじめは週1回の習い事として滑っていた。「ただ楽しかったから行っていたら、いつの間にか毎日行くように」。中学2年生以降は毎日リンクに通うようになったという。しかし、中高時代の学業との両立はかなり大変なものだった。当時はシングルではなく、アイスダンスの選手として活躍していた岩崎。自身で確保するリンクの貸し切り時間は、いつも深夜1時から2時。練習を終えて、早朝登校するというハードな日々を過ごしていた。それでも続けることができたのは、「やっぱり好きが1番大きかった」から。「テスト期間はフィギュアスケートがないとやってられんって感じで(笑)」と、どれだけ忙しくてもフィギュアスケートの時間は削らない。そんな愛の強い彼女が思うフィギュアスケートの魅力は、「自分の体で表現できつつも、スピード感などのスリルも味わえるところ」だという。
「個人スポーツでもチームでできることはすごく新鮮だった」。習い事として1人でフィギュアスケートを続けてきた岩崎にとって、大学で部員同士互いに支え合う環境は新しかった。部員みんなとの合同練習。試合でのリンクサイドから掛けられる「がんば~!」という声。チームとして頑張る良さを、大学4年間で経験した。また、部に所属したことで組織として必要なことや協調性など「フィギュアスケート以外のことも本当に多くのことを学べた」と振り返った。
卒業後は、スケーターメインにはならずともずっと続けていきたいという岩崎。これまでの選手生活について、「やらなかったら見られなかった光景をたくさん見ることができたので、フィギュアスケートを始めて良かった。立教のスケート部に入ってよかった」と語る。「今までたくさん教えてくださった方や、普段支えてくれる部員、家族にしっかりと感謝の気持ちを伝えられるように」。1月のインカレで学生スケーターとしての集大成を発揮するため、彼女は今日も前を向く。
(12月27日・冨田夏希)