【240号企画面】 永谷亜矢子氏インタビュー
「立教スポーツ」240号では、文学部卒で現経営学部客員教授の永谷亜矢子氏を取り上げた。『TGC(東京ガールズコレクション)』を立ち上げ、現在は株式会社anの代表取締役を務める永谷氏。紙面では載せきれなかった、立大での思い出や異端とも言えるキャリアを作り出した裏側を掲載する。
-立大文学部を卒業されていますが、学生時代の思い出は何ですか?
大学は好きでしたが、ほとんど勉強はしていませんでしたね。ただ、今は立大自体が大きくなっているけど当時は小さかったから、すごく友だちが作りやすくて大学に行くのが楽しかったです。元々、私は愛知県出身で「大学四年で戻ってきなさい」って言われていたので、四年間でいかに色々な経験をするかという目的で大学に来ていました。だから、そんなに真面目に勉強してないタイプの学生でしたね。でも、大学の時に出会った人たちとは、今でもみんな一緒に仕事をしています。大学の友達は、もちろん友達でもあるし仕事仲間でもあるという感じです。そこの人間関係はもう24年以上続いてるってことよね。このことは凄いなと自分でも思います。大学四年間でそれくらい固い絆と信頼感が生まれましたね。だから立大があって今があるなと思い、私は立大に貢献したくて今教鞭を取っています。
-大学時代の友人との交際は、仕事上だけでなくプライベートでも続いていますか?
やはり友達をたくさん作ることはすごく重要だと思います。コミュニケーション能力や、場の空気を読む力などは、コミュニティ形成でつくられていくと思います。だから、大学時代に色々な価値観を持った人と利害関係がなく付き合えることは大事です。社会人になると利害関係が凄く増えるので、利害関係なしに友達と色々な経験を踏めたことが凄く良かったことだと思います。
-人生のターニングポイントとなった出来事は何ですか?
やはり、『TGC』をやることになったのは大きかったです。
(-その理由は?)
(『TGC』のチーフプロデューサーになる前までは)普通のサラリーマンだったのに、自分がプロデューサーになって全部事業見ないといけなかったので、やることも全然変わりました。あとは、扱う商材も変わったから付き合う人も環境も全部が変わりましたね。でも、マーケティングの目線で仕事をすることは変わらなかったから、色々な所で積んだ経験が生かされていたかな。
-今まで様々な仕事をこなされてきたが、どのような基準で仕事を行っていますか?
自分が行動することで、日本が良くなることに繋がることをやりたいと思っています。例えば、地方創成に関するプロモーションなどは、地域が知見を持ってアップデートしています。そのため、一緒に仕事をしていて楽しいなと思うことが多いです。今は、東京よりも地方の文化を発信していくことにすごく価値を感じています。
-様々な分野の仕事を両立する上で、気をつけていることや意識されていることは何ですか?
相手ができることを見るということです。ノウハウがないと、高い球を投げても受け止めてられないと思っています。だから、目線を合わせて環境を見てあげることがすごく重要です。
-今の若者に対して足りないと思う点はありますか?
コロナ禍で制限とかもあると思うけど、とにかく色々な経験をした方がいいと思います。今しか時間はないんですよね。だから、バイトとかもたくさんの種類をやった方が良いです。それぞれの環境に色々な人がいますから。私もたくさんのバイトを経験して、環境自体を見るのも面白かっですし、社会がどう回っているかも凄く見ることができました。経験値を積むというか、もっと色々なことに興味を持つべきだと思います。私たちの時代は、携帯もインターネットとかもありませんでした。その時代はすごく幸せでしたし、想像力とかシミュレーション能力をすごく向上させたと思うんですよね。すぐ連絡取れないとか、すぐ見れないから、スケジュール感覚を持って逆算して動くことができていました。昔とは違って便利な時代だから、自分で色々なことに興味を持って色々な人と会って想像力を磨くことが必要だと思います。私も、仕事でいうとリクルートに入社して『TGC』の運営をやって吉本で働いて、今は国の仕事をやっているのは、とてもカオスなことだと自分でも感じます。でもそれって全ては経験値だったりするなと思います。
-ビジネスを行う上で、大事にした方がいいと思うポイントは何ですか?
今からシミュレーション能力というか、想像力や編集力を上げるということです。それに関するSNSのインターンとかを手がけてみるのもいいんじゃないかなって思います。あと、ビジネスの上では自分に嘘つかないことが大事です。気持ちも仕事も、嘘をつき始めるとキリがないんですよね。嘘に嘘を重ねることしかなくなるから。出来ないことを「出来てます」って言ったりだとか、やりたくないのに「やりたいです」って言ったりとかは良くないです。我慢しないといけないことももちろんあるんだけど、嫌だなって思いながらやってもうまく行かないはずです。だから、嘘をつかないことと決めたことはやり抜くことが大事。結果を出すことは難しいんだけど、結果は見ることができます。途中でやめたり諦めたりしたら、何が良くて何が悪かったか分からないから、次どうしたら良いかを考えることができません。結果は出す出さないとかじゃなくて見ることが重要だと思います。
-想像力を磨くために必要なことは何ですか?
例えばバイトとか、身近な所から想像してみることです。メニューを持っていった帰りに一緒に食べ終わったお皿を片付けるとか。そういう点で効率的に考えて動くことができていると、シミュレーションができているなと感じます。そういう子は、社会に出ても仕事ができると思います。本当にちょっとしたことに気づいて、先を読んで自分でやることが成長の一歩になると思います。
-立大生に対してメッセージはありますか?
今は時間があると思うから、とにかく色々なことに興味を持って欲しいなって思います。社会人になっていろんなことに興味を持っても突き詰めれないと思います。今の私があるのも、立教大学でそういう経験があって形成できたからです。だから、繋がりにくい世の中だけれど、人との繋がりを大切にして色々な経験を積んで欲しいなと思います。
(取材・佐藤みのり、三俣心葉/編集・三俣心葉、本間早瑛)