【ボート部】全日本&インカレ直前インタビュー④女子フォア&エイト
今年もボートの季節がやってきた!コロナ禍の影響により2大会が一つとなった今季は、例年以上に大会の規模が大きくなった。28日から開催される大舞台を控える選手たち。今大会への抱負と意気込みを聞いた。
――引退前の心境について。
岩崎:ついに終わってしまうんだという寂しさと嬉しさと怖さ、もうあと二週間後には全部の全部がわかってしまっているという怖さっていうのは結構ありますね。
佐藤:私も結構岩崎と同じなんですけど、それプラスやっぱりワクワクというか自分たちがどこまでできるか。おそらく決勝で闘う相手が去年と同じ、ライバルの立命館だと思っているので。去年自分たちが約2秒くらいで負けて、それをひっくり返すためにこの一年めちゃくちゃ練習してきたので、自分たちがどこまで行けるのかというワクワクもすごくあります。
五十嵐:佐藤と比べるとワクワク感というよりは不安とか怖さの方が多いと思う。今までずっと生活とか自分の時間の中心だったボートが終わって無くなった後に自分に何が残るだろうとか、今までボートが占めていた時間が自分にとって何になるんだろうっていう怖さみたいなのが大きいです。
――引退に関する意識が芽生えたのはいつ頃からか。
岩崎:引退の意識って結構難しいんですけど、なんかことあるごとに半年後何しているだろうとか、佐藤とか五十嵐とかと話して、半年後の今はもうここにはいないのかとか。引退したらどうなっているだろうというイメージは、半年くらい前からいろんな妄想をしていた。
佐藤:私は正直言って一年前の代替わりしてから結構引退したいなとか、辛いことがあるたびにあとどのくらいっていうのをずっと考えていた方。引退したいと思っていたけど、1ヶ月の猶予ができてより真剣にボートと向き合う期間ができたというのもあったので、一番強く意識しているのはこの半月ちょっとくらいですかね。先月末くらいからはすごくより深く向き合っているのかなって思います。
五十嵐:1ヶ月切って数えられるようになったときですかね。なんか同期のみんなともあと何ヶ月後とか言っていたんですけど、もうあと1ヶ月切ってなんか30日切っているって時から、あぁもう引退するんだなって思うようになりました。
――艇庫の雰囲気はどんな感じですか。
岩崎:割とピリつくタイプと、あとは楽しむだけみたいな感じの迎えるだけみたいなメンバーの大きく分けてふたつかなって感じなんですけど。クルーごとによってというか人によってそのレースに向かう姿勢というのはちょっとずつ変わっていってるのかなって感じます。
佐藤:そんなに敏感に感じ取ってはないんですかけど、冬とかは、結構暗い雰囲気が続いているなっていうふうに思ってた。そこと比べると今は前よりも前向きにボートに向き合っているなって感じです。
五十嵐:私もあんまり分からないんですけど、この前の日曜日にOBOGさんとかが開いてくださった激励会があって。その時に各クルーの代表の人が目標とかをしゃべっているのを聞いて、やっぱり冬の練習と違って、目の前に目標があるからこそ練習で各クルーが真剣に取り組んでいるんだなっていう感じがすごくそこで伝わりました。
――最高学年としての振り返り
佐藤:この一年は言っていいのか分からないんですけど、ほんとにしんどくて、なんかもう約22年間生きてきて初めて味わう感情みたいなのがすごく多くて、その分すごい辛かったです。だからこそ最後ぶつけて終わりたいなって思います。
五十嵐:今までよりも、周りを見るようになったかなって。自分が後輩だった時な先輩が声かけてくれたりとか、最近どうとかよく聞いてくれていたんですけど。この人今こう思っているのかなとかなに考えているのかなとか、この人こうだから今こういう風なのかなとか。自分のことだけになりがちなんですけど、ちょっと周りのこととかも見るようにしていたかなって思います。
岩崎:めっちゃ変わったなってところは正直あんまりないんですけど、後輩の子達にとって一番ハードル低い先輩でありたいなっていうのは、個人的に思っていたところはこの一年に限らずあったので。そんな人でありたいなって漠然とした像には近づけているのかなって思ってそう言ったところでは変わったところなのかなって思います。
――コロナについて。
佐藤:制限はかなりあって、大会後の長期オフ以外の時は外に遊びに行けなくて、必要最低限の外出の制限でこの1年間やってきて、長期的に見てそれが部員のストレスに繋がっていたのかなって思うんですけど、意外に人間慣れるんだなというか、慣れました。でも引退して遊ぶのはめっちゃ楽しみです。
五十嵐:自分たちが一年生の頃は月曜日の部休に外出できていたことがあったので、あと立教のボート部で開催していたイベントとか立教レガッタとかクリスマス納会とか温泉旅行とかボート部ならではの行事があったんですけど。その行事がどういうものなのかとかを後輩に知ってほしかったし、毎週遊びに行けるオフがある生活の方が楽しかったので、本当はもっともっとここの寮の生活が楽しいんだよってことは教えてあげたかったなって思います。
岩崎:組織的なところでいうと、イベントが無くなったり、部屋で食べるようになったりとかで密にコミュニケーションをとる機会がなくなってしまったので、寮生活ならではの豊かさみたいなものがすごく欠落したなって思って。コミュニケーションをとるきっかけが無くなったので、掴みに行こうとする人と、そうでない人でコミュニケーションの差とか質って変わってくると思う。50人位いる寮生活の豊かさみたいなのが無くなっちゃたのはすごく大きいことなのかなって思います。
――最後の試合に向けての今の心境。
岩崎:心境は楽しみと怖さみたいなのがあって、やっぱり不安もまだまだ残っている状況です。その点に関しては少し怖い部分はまだあるんですけど、二週間かけてあとはピークに持っていくだけってところまでやる。私のレース後の優勝してみんなが笑っている姿を想像したときとかのワクワク感とかはすごいあるので。今の心境としては、早く引退したいとかではなく、早くレースの高揚感を味わいたいなってところではあります。
佐藤:代替わりしてからの練習メニューを私と男子部の主将の榮原(文4)と2人で組んできているんですけど、いままで一年分一緒に組んできて、ちょうどさっき最終のレース週のメニューを組み終わって、コーチの方に提出したところで榮原と話していたんですけど、やっとここまできたかっていう感情が一番大きくて。ほんとに7年とか10年近くやってきたものが全てその4日間につながるって思うと、感慨深いっていうと簡単に聞こえるかもしれないんですけど、その4日間が10年分を決めると思うとドキドキワクワクという感じです(笑)
五十嵐:まだ緊張していないって感じです。いつも一週間くらい前になると緊張しだすんですけど、まだ緊張してないかなって感じです。
――2種目のレースプランについて。
岩崎:佐藤が言っていたように冬の間にすごくきついメニューを組んでくれていたというか、その日に向けたメニューを組んでくれたので。やっぱり2000㍍で一番長いのってスタートでもラストスパートでもなく真ん中の部分になってくるので。組んでくれたメニューもあって、私たちの強みっていうのはチームとしてそこで共通しているのかなって思う。その長い2000㍍の中の中盤部分で勝ち切れるような展開が理想なのかなって思います。
佐藤:岩崎と全く一緒なんですけど、おそらく自分たちの強みである真ん中の部分で、どこよりも一本一本の飛距離をしっかり出していければ、絶対そこで相手より出られると思うので、そこに自信を持ってやっていきたいと思います。
五十嵐:同じで…。真ん中の部分が自分たちの強みだと思うのでそこで船を一本一本伸ばしていくことが大事かなと思います
――今回出場されるメンバーの強みは。
岩崎:4人乗りについて話しますね。去年乗っていたメンバーが5分の4で、それで準優勝しているので、去年乗っていたメンバーは強みと思ってます。中でも3年の北原(文3)はレース経験とか、練習中も意見をくれるので、漕いでいる選手と意思疎通を取れるのは彼女の強みかなと。私たちは4年間結構同じ船に乗ってやってきたので、そこの信頼関係に関しては本当に誰にも負けないかなといった感じです。3年の五十嵐いづみ(法3)に関してはやっぱり体格もしっかりあってパワーもあるので、去年のメンバーに劣らない。あとは、長さを活かしたスピードっていうのは強みかなって思う。4人乗りに関しては、経験と去年以上のパワーが強みです。
佐藤:私は8人乗りに関して話します。コックスとストローク、7・6・5までの5人について。コックスは岩崎も言った通りで大学から始めた子なんですけど安心して船を任せられる。このコックスだから勝たせてあげたいと思わせてくれる子だと思います。今回ストロークが私で、7番が岩崎、6番が五十嵐5番が日比野真奈(社3)で、前の方でコアで作りあげてきた者を引っ張っていくっていう。5番の日比野は最近の注目選手で、今までも良い選手だったんですけど、ペアのインカレで1年生と出場して、そこで成長したなって感じ。3年生なんですけど頼もしくて、力もあるし、女子部でもみんなが頼っています。そういう人が真ん中に乗ってくれると安心感があると思います。
五十嵐:8人乗りの後ろ残りの4人は、いつも同じ人って感じなんですけど。4番に2年の長芝(法2)、3番に4年篠原(理4)、2番に4年三嶋(社4)、1番に私が乗る。ここ全員であげるぞ!っていうときに皆「しゃあー!」って。すごい火がつきやすい人たちだなって思うので。だから、ここ上げるぞってなったらみんなで支えていける人たち。
岩崎:五十嵐の強みは安定した技術力。三嶋は絶対ココってときの勝負強さは信頼できる。長芝に関しては2年生で去年も乗ってるメンバーで、体は大きくないのにすごいパワーの持ち主です。篠原は結構俯瞰的に見れる人で、熱くなるだけじゃなく頭は冷静に、心は熱くを具現化されるような人。後ろ4人の信頼感とここっていう時の熱さは強いところです。
――今回2種目出るなかで、それぞれが思う自分の役割とは。
岩崎:4人乗りと8人乗りで佐藤と前後ペアになっていて、1番前に載っている2人って佐藤がリズムを作っていくっていうのがある。自分がどれだけ佐藤に合わせられるか、それを後ろにどれだけ伝えられるか。リズムの繋ぎ目であり、作るポジションかなと感じているので。作るだけじゃなく繋げる役割とか、佐藤を支えることが役割だと思います。
佐藤:岩崎が言ってくれたことがほとんどなんですけど、唯一全員に背中を向けている立場なので、自分の中で心がけているのは自分が絶対に折れてはいけない。自分が弱気になるとそれが全員に伝染しちゃうと思うので。自分が胸を張って、自分がいるから大丈夫っていうのを全面に出していきたい。それが役割だと思います。
五十嵐:佐藤とは真逆で、自分は1番後ろから全員がみえているポジションにいるので、
船がこう動いているとか皆の動きとかを、後ろから言うようにしています。あと船の立ち上げを行なう役割なのでそこは意識してやりたいです。
――最後の試合に向けた具体的な目標。
岩崎:優勝ですね。インカレでは2年生の時に先輩たちの力をお借りして優勝できているんですけど、それは自分たちで取った感覚、貢献した感覚っていうのが全然無いので。優勝したタイミングにたまたま乗らせてもらったって感じ。しっかり自分たちの力で優勝したい。それと今までの女子部のインカレで、総合優勝っていうのがあるんですけど、この代は今までで一番総合優勝を狙えると思う。自分たちの優勝だけでなく、女子部全体の総合優勝が目標になります。
佐藤:優勝と、立教は総合優勝したことないので狙っています。したたかに狙っている感じです(笑)
五十嵐:ダブルエントリーするからこそ、どっちかだけでなく、どっちも取っていきたいです
――4年間やってきて、変わったこと、学んだことなど
岩崎:多分あんまり1年生のときからめちゃくちゃ成長したとかはなくて。でも自分自信の言動に責任をもつみたいなところは成長出来たかなって。あとちょっと心が広くなったかなとは思います。
佐藤:私は本当に甘やかされて育ってきて、自分の力で生きていく力は昔よりはついたかなって。私たちが入部したときよりもボートと向き合える姿勢っていうのが部の印象として変わったなって思う。あと1年生の頃よりは、今の方がボートに向き合える時間が長いっていうか、練習時間が増えているのもあるんですけど、メニューのボリュームもかなり増えていると思う。部全体の意識として、成績も残しているんですけど、更なる高みを目指せていると思います。
五十嵐:岩崎と同じで、ちょっと心が広くなったって思います。あと良い意味でルーズになったかなと。ちょっとくらい「これでいっか」って思ってもいいんだなと思いました。あと、寮生活していて気づいたのは、自分朝めっちゃ強いなって思いました。誰よりも早く起きられるんだなっていうことに気付きました。
――最後に、ボート部ってどんな部活か一言で
岩崎:競技特性を考えても、4年間やり続けることってしんどいことかなと。他の部活みたいに頻繁に大会や練習試合を組めるわけでもないし。かと言って他の部活みたいに長期間のオフも無い。4年間続けるだけでも凄い部活、競技特性だなって思う。あと、寮生活だからこそ全員が足りないところを補い合える部活だなと思っています。
佐藤:すごい純粋な人が多いというか…。寮生活で朝早く起きて練習して、午後も早く寝てみたいな。一般に想像できる大学生活とは違くて、全員がボートをするために集まっているというか。自分たちが日本一になりたいっていうそれだけのために毎日練習しているのは凄いことだと思います。それが4年間できるっていうのは、純粋な人が多いってこと。だからこそ成り立つ生活なのかなと思います。
五十嵐:寮生活っていうすごい特殊な環境で生活しているからこそ、仲間が仲間以上の関係になっているかなと思います。友達とかそれ以上の、家族くらいの関係になるなって。頭おかしいくらいハードな生活を毎日続けられるだけでも忍耐強いと思うし。あとは人と人との距離も近いし、仲間が常に周りにいるっていうのがあるので、ボート部になったら人を思いやれるようになると思います(笑)。