立教スポーツ237・238合併号
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7月1日更新
【水泳部】返り咲いたエース・井坂がジャパンオープン女子200㍍平泳ぎB決勝で3位!気持ちを新たに、好記録をマーク!
立大水泳部のエースが再起の泳ぎ! 井坂友紀が200㍍平泳ぎB決勝において、2分29秒86で3位の力泳をした。8カ月ぶりとなる決勝の舞台で好タイムを記録。昨年のインカレ以降、タイムの低迷に苦しんできた。復活の裏には、目標の変化と日頃の練習の成果があった。
30秒台前半の壁越える
不調に悩んできたエースはスランプを脱した。予選タイムは2分29秒67。「30秒前半が続いていたが、ようやく出せた」と深くうなずいた。順位よりも自ら決めたタイムと戦い続けてきた井坂は復調の泳ぎに安堵(あんど)した。
本番2日前から泳ぎの感触が良く、29秒台を確信していた。迎えた予選。狙い通りに泳ぎ切り、全体10位でB決勝進出を決めた。半年ぶりに越えた30秒前半の壁。28秒台を目標と定め、そのままの勢いで2本目に挑んだ。
昨年のインカレ以来8カ月ぶりの決勝。スタート前、予選結果から隣の選手を抜けば29秒を切れると考えた。目標タイムを切りたいという思いから焦りが生じる。さらに、レースは序盤から想定外のハイペース。一層気持ちが急いだ。泳ぐ動作を速くしたことで手足のタイミングがずれ、体力を消耗。前半のラップタイムは予選より0・3秒遅れた。挽回するため、後半は体力を温存。ラスト50㍍で巻き返す。「自分の泳ぎをしよう」。 冷静さを取り戻し、ペースを上げタッチ板に触れたが、惜しくも28秒台には届かなかった。
それでも、目標に対する考え方の転換と体力強化が記録向上につながった。予選・決勝ともに29秒台を達成。低迷期だった2カ月前の日本選手権から約1・7秒戻し、「続けてきたことがやっと報われた」。
目の前の目標から
昨年のインカレは5位入賞。学生最高峰の舞台で持てる力を出し切り、練習への気持ちが途切れた。同時に大会のタイムも落ち込む。インカレ後のジャパンオープン、日本選手権では中学時代と同じ30秒前半。自己ベスト更新の見込みがない中、泳ぎ続けることがつらくなった。
だが、結果を出したいという思いは捨てなかった。モチベーション再燃のきっかけは、好成績で部をけん引した元エース・石森(19年度卒)からの言葉。「1回の練習でどれだけ集中してできるかで結果が変わる」。 今の自分に必要なことを考え、「近い目標を立てて自分のペースで頑張ろう」。 以前は自己ベスト更新という高い目標を意識するあまり、やる気を失っていた。目先の目標タイムを突破していくことで、少しずつ力をつけていこうと心に決めた。
日々の努力で着実に前進した。厳しい制限タイムでダッシュを反復。持久力を強化し、得意とする後半の追い上げに磨きをかける。次第に好記録を安定して出せるようになっていった。ピークをレースに合わせることができ、結果に結びついた。
30秒前半からの脱却は、通過点に過ぎない。次の目標タイムは28秒台。立大記録を更新し、10月に控えるインカレで表彰台を目指す。己と向き合い、一歩ずつ記録と勝負し続ける。 (武田麻友香)
【男子ラクロス部】SAINTSの勢い止まらない!創部史上初V六大学戦王者CHAOS体現で全勝
創部史上初となる六大学戦優勝を決めた! 大学ラクロス界で双璧をなす早慶を破る番狂わせだ。昨年全敗を喫したSAINTS。どん底からの下克上をみせた。全勝の裏には、主将を中心とした画期的な組織改革があった。
価値ある1勝
今年のSAINTSは一味違う。メンタルが安定し、雰囲気も一層明るくなった。
最大の山場は、早大との一戦。逆転を許し、2―3で前半を終えた。例年ならば落ち込む場面を笑い飛ばす立大。異様な光景に、早大選手は驚きの表情を見せる。相手にとって想定外のプレーや展開を表すチームスローガン「CHAOS」が体現された瞬間だった。明るい雰囲気は流れを引き寄せる。大量4得点を挙げ、再び逆転に成功した。
しかし、各クオーターで形勢が変わるのがラクロスの怖さだ。ファールを境に流れが早大へ。得点力を発揮され、7―7に追いつかれるも彼らは動じない。試合前の「シナリオ作り」で点の取り合いになると想定。予想通りの展開が心に余裕を生んだ。
残り1分、決着の時が訪れた。松本健が放った角度のないショットがゴールネットを揺らす。想定外の一撃に、選手たちは大歓喜。10年以上勝ちがない早大からの大金星が優勝を大きく手繰り寄せた。
チームの成長
「全員が自分のチームと心から言える環境をつくる」。 これが主将・櫻井の目標だ。日本代表がいない今、総力戦で挑むことが求められた。先輩主導だった昨年から一変、後輩の主体性を尊重しようと尽力した。
メンタルマネジメントはその1つ。ミスに対して怒ることや謝ることを禁止した。プレー中の上下関係を無くすことで後輩も伸び伸びとラクロスを楽しめるようになった。
組織制度の変革も実施。以前は、インスタグラムの運営や栄養管理など各仕事を強制的に振り分ける班制度を設けていた。しかし、今年は希望制のプロジェクト制度に変更。部員自ら選択できる機会を設けたことで、一人一人の部に対する貢献意欲をかき立てた。
後輩の主体性を引き出す主将の改革によって、活気あるチームへと変貌を遂げたSAINTS。六大学制覇はあくまで通過点。チーム一丸で目指すは日本一だ。進化を続ける彼らが、リーグ戦でもCHAOS旋風を巻き起こす。 (冨田夏希)
【陸上競技部】道下が関東インカレ女子800㍍で史上2人目のV!自己新記録!力強い追い上げで笑顔のゴール!
中長距離のホープ・道下美槻(社2)が、猛者の集まる関東インカレで躍動! 女子800㍍で見事優勝を果たした。同大会での女子の優勝は岡田久美子(14年度卒)以来史上2人目となる快挙。しかし、その裏には1500㍍決勝での悔しさや、怪我を乗り越えた先の成長があった。
挑戦者の心で
ゴールの瞬間、レース中の険しい表情が思わず緩んだ。両腕を高らかに上げて満面の笑みを見せた。笑顔の前には悔しさがあった。優勝を狙って挑んだ1500㍍。中盤で勝負をしかけたが、向かい風に苦しみまさかの4着。表彰台すら逃し、悔しさをにじませた。
続く800㍍。半年ぶりの同種目は、前日とは一転し「挑戦者のつもり」で臨み、予選と準決勝は危なげなく突破。決勝は最後尾で前が落ちてくるのを見計らい、2周目からペースを上げた。持久力を武器に怒とうの追い上げを見せ先頭を奪取。残り300㍍から、ヒリアーがじわじわと距離を詰めるも、トップの座は譲らない。最後は独走でゴールラインを駆け抜けた。自己ベストを3秒も更新。人生初の優勝インタビューでは「まさか優勝するとは思わなかった。全てを出し切り走ることができて、今後の自信につながった」と少し興奮気味にも記録的なレースを振り返った。
課題と向き合い
「今はのびのびと陸上が出来ている」。自主性を重んじる大学の陸上生活。結果を出すたびに強い達成感を覚えた。しかし、日本インカレや関東女子駅伝などの連戦がたたり膝を故障。全ての大会を全力で挑んだことが、むしろ怪我につながった。1月まで練習に参加できず、初めて経験する長期離脱の中で、走れないことのもどかしさに苦しんだ。復帰後は落ちてしまった持久力の底上げに集中。コーチや仲間にも相談を仰ぎ、インターバル走など中強度のメニューを積極的に取り入れた。怪我をする前、持ち味のスピードを重視していた頃から急成長。「今では持久力の方が自信がある」。弱点を強みに変えたことが800㍍決勝の猛烈なロングスパートにつながった。
初の優勝も「通過点として頑張りたい」と上を見据える姿勢は失わない。新たに立てた目標のパリ五輪に向け、今後も果敢にトラックを駆ける。(永﨑勇汰)