【相撲部】さらば、愛され主将と最強助っ人たち
昨年12月の東日本選手権をもって主将・玉真(済4)は引退。同学年の助っ人たちも役割を終えた。そして3ヶ月後の3月13日、彼らは土俵に再び集い、引退稽古に参加した。参加したのは前之園(済4=柔道部)、長谷川(コ4=柔道部)、横田(コ4=レスリング部)の助っ人3人と、新主将の石井(済2)。そして、昨年新型コロナウイルスの影響で引退稽古を行うことができなかった19年度主将・小佐野氏(20年卒)も参加した。
定刻を過ぎても、主役である玉真は土俵に現れない。が、引退稽古は開始された。15分ほど経過してようやく登場。「アラームが鳴らなかった」。彼らしい言い訳が許されるのも愛されている証拠だ。荒井新監督(97年卒)と近藤新助監督(98年卒)主導のもと、四股や申し合いが行われた。選手生活を終えて10㌔の減量を果たした玉真は「しんどい」と疲労の色を見せながらも、現役さながらの動きを見せて相撲を楽しんだ。
引退稽古を終えたのち、追い出しコンパが行われた。例年であれば全て土俵で行われたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインにて行われた。OB・OGをはじめとして、肥田師範(70年卒)、坂田総監督(95年卒)らが参加した。会には周防正行名誉監督(81年卒)も出席して、労いの言葉をかけた。
「皆さんの相撲を見て、大相撲とは違う面白さや可能性を教えてもらいました。新人戦の時は、“ケガするんじゃないか“とハラハラしていたあの日から、少しずつ相撲の形ができていって。最後の大会でいい相撲を見せてもらいました。また、柔道部やレスリング部の皆さんが土俵の中でどうやって力を発揮して相手を倒すかという取り組みが本当に面白かったです。大学生で始めた相撲の面白さを感じました。これから社会人として頑張ってください」。
「2年生の時から助っ人として参加させていただき、相撲部の皆様から手厚い指導を頂きました。3年間ありがとうございました。来年から社会人ですが、立教大学相撲部の一員であったということを誇りに思いつつ過ごしていけたらなと思います」。玉真は最後の挨拶としてそのように述べた。2年生まで「立教スポーツ」編集部の記者として選手を追う側だった玉真は、助っ人として相撲に触れたことで次第に競技の面白さに気づき、悩んだ末に相撲部に転部した。3年次には格下相手に敗戦し、悔し涙を流した。最終年として迎えた今年度から主将としての自覚をもって相撲に取り組んだ。体重を入部時から30㌔近く増量させ、大会前には気合いを入れるために頭を丸めた。ひょうきんな性格で周りを和ませる玉真は相撲に対して人一倍真摯に取り組んだ。
玉真を支えたのは同級生の”最強助っ人”たちだった。創部史上初の東日本選手権重量級3位に輝いた柔道部の長谷川、会場がざわめく「足取り」で勝利に貢献したレスリング部の横田、控え選手としてもチームを盛り上げた柔道部の前之園。彼らがいたからこそ、玉真は互いに高め合い相撲の技術を高めてきた。プライベートでも仲の良い、一生の友人になった。相撲に出会い、人生を変えた青年は笑顔で土俵を後にした。
(3月13日・渡邊大樹)
◆コメント◆
●19年度主将・小佐野氏
「やはり「立教大学相撲部の小佐野」であるのだなと非常に思うことがある。自分はボディビルであったり、山梨出身だったり様々な要素がある中で自分はやっぱり「立教大学相撲部の小佐野」と周りからも見られているし、自分自身もそういった思いで日々活動している。こうやって帰ってくる場所があるというのは自分としても嬉しい。これからもOBとして相撲部を支えていきたい」。
●柔道部・長谷川
「国技館や靖国神社など、様々な土俵で戦わせていただいて非常に珍しい経験をさせてもらった。4月からは立教新座中・高で体育教諭として勤務するので、時間の合間を縫って稽古に参加できたらなと思う」。
●レスリング部・横田
「相撲はレスリングにも通ずる部分があって、レスリングの技が相撲に活かせる部分もあったし、相撲部と切磋琢磨することができた。コロナの時期でレスリングの大会も減って、団体戦がなくなった中で相撲部で最後に団体戦ができてよかった。個人戦にはない面白さがあるので、経験させてもらえてよかった。レスリング部も人数が少ないので今後もレスリング部と相撲部で切磋琢磨して強くなれたらなと思う」。
●柔道部・前之園
「最初は興味半分で助っ人として参加したが、やっていくうちに柔道にも通ずるところがあるし、柔道の技術が相撲に生きたり、発想の幅が広がったなと学びがあった。仲間達も面白い人たちだったし、先輩方にも優しくしていただいて本当に楽しく過ごすことができた」。