【サッカー部】木下の蹴球道~後編~ サッカー部での現在地
突如として、立大サッカー部に奇才が現れた。アナリスト・学生コーチの木下創太(コ2)である。その姿、まるでマルセロ・ビエルサ。2年生からの入部に始まり、変わった経歴を持つ彼を前編・後編に分けて「分析」していく。
後編では、木下の歩んできた道と現在地について掘り下げよう。
新入生ながら、分析に学生コーチと多忙な日々を送っている。分析面では選手と協力し、次週の対戦相手のレポートを作成。それにとどまらず、高校時代所属した陸上部の経験を生かし、走り方の撮影、分析をし、助言をしている。コーチとしては、全てのカテゴリの練習に参加。選手時代FWだったことから、同じポジションに動き方のアドバイスをすることも。将来、Jリーグの監督を目指し、多方面で活躍している。
経験を積んでから
異例とも言える2年生からの途中入部。「入学当初からサッカー部に興味はあったが、準備してから」1年生の間は心技体すべてを整えてからという思いが裏にはあった。
まず、知識。「足が速いしか取り柄がなかった、他競技も挑戦してみたい」と高校時代は陸上部に所属。サッカー復帰には知識を深める必要があった。本をよみあさり、画面と向き合い、数多くの試合を見て勉強。心を整えた。
次に、技術。サッカーに関わる教授が多いことから立大スポーツウエルネス学科へ進学。入学式の翌日、直接足を運び、安松幹展教授の下へ教えを乞った。紹介で大宮アルディージャのスクールで小学生の指導に従事。1年間指導者の経験を積んだ。
そして怪我だ。高校で部活動引退後、学校行事として開催された球技大会で前十字靱帯断裂という大怪我を負ってしまった。受験期間、取り組めなかったリハビリに注力。体を整えた。
挫折してしまうような大怪我、2年生からの入部。逆境でもめげなかった。「Jリーグの監督になるというのは簡単に諦められる夢じゃない。」サッカーへの情熱が彼自身を鼓舞し続けていた。今年2月、コーチに相談し、入部。1年生の間、確実に前へ進んでいた彼は入部に対し躊躇は全くなかった。
グラウンドレベル
グラウンド練習が再開されてから約4か月。授業時間以外はグラウンドに出て、全カテゴリの練習を見ている。コーン、マーカーの準備のほか、練習メニューの作成、選手に動き方、走り方のアドバイスをすることも。「何通りのも考えがある。毎日気づきがある」と毎日全カテゴリの選手とひたむきに向き合い、コミュニケーションを大切にしている。ついに、9月20日には、社会人相手の練習試合で指揮を執った。指揮官デビューだ。ただ、映像で見ていた目線と実際のグラウンド目線は全く違った。パススピード、試合の進む速さ全てが違う。「自分が思っていることと、選手がピッチで考えていることにずれがあった」と悔しさをにじませた。
サッカー部での現在地~全カテゴリの架け橋に~
「上のカテゴリのことを下のチームに還元していく声がけやモチベーションの上げ方を意識している」。コロナ禍の影響でトップチームの公式戦を全員で見る機会が少ない。トップチームとの架け橋は全カテゴリの練習を見ている彼だからこそ。還元のみならず、日々選手が成長していくとともに、指導者としても共にアップデートしていくことを大切にしている。その先には1つのカテゴリの指導をしたいとの思いを抱く。今後も学生コーチとしてチームを支える木下の飛躍が、立大サッカー「渇望」の体現のために一翼をになう。
(10月28日 矢作峰士)