【少林寺拳法部】 #10月クローズアップ対談企画 日々成長できる部活

全日本学生大会を控える少林寺拳法部。対面試合の中止や気合いの禁止など、コロナによる影響が大きかった中で、どのようにして練習を行なってきたのか。そしてその話の中で見えてきた「少林寺拳法部らしさ」とは。主将・澤田(コ3)と副将・増田(現3)に話を伺った。

落ち着いた雰囲気でカメラに向かう澤田(右)と増田

【主将・澤田】
―少林寺拳法部の魅力を教えてください
そうですね、うちの部活は初心者が8割で、経験者がすごい少ない部活で、出場できる部門がすごく多いので、やっぱり初心者でも入賞しやすい、結果を出しやすいという意味で、部員のモチベーションにはすごく繋がっているかなっていう風に思います。

―いくつも部門に出られるというのは、それに合わせて練習とかは変わってくるのでしょうか
そうですね、練習は変わらないんですけど、男子同士で組んで出る部門、男女で組んで出る部門、女子同士で組んで出る部門っていうのは、結構細かく部門分けされていて、しっかり大学同士でちゃんと競い合えるような部門が作られているので、練習内容自体は変わらないんですけど、自分たちの実力に合わせた級に合わせて、経験年数に合わせた部門設定がされているので、初心者でも、経験者と劣らずしっかりと経験を積んでいけるっていう魅力があると思います。

―分析は個人個人やり方が違うのでしょうか
そうですね。それこそ先輩から代々受け継いできたアドバイスもあるし、個人で発見した考え方や経験から見られるものもあるので少林寺拳法部らしさに繋がっていると思います。

―ノートなどは作りますか
作らないですね。先輩から審査員の人はここを見るということなどを聞いてやっています。審査員が見ているポイントも年々変わっていったり流行りもあるので、逐一情報を他大学や社会人の先輩に聞いて繋げていきます。

―今年の(演舞の)流行はありましたか
コロナとかであまり分からないです。構成ごとに技を組み合わせて演武を作りますが、そういう時に使う流行があるんです。少林寺拳法は200種類くらい技があるのでその技をどういう風に組み合わせてどういう風に見せるかはペアが個人で決めることなので、そういう作る技術は必要。毎年優勝する人がいい演武をするので、それを真似して作ってみたりする。だから、優勝してる人がやっていたのが今年の流行りとしてやることが多いです。

―練習できない期間は家でどのように練習されていましたか
オンラインで練習を行っていました。Zoomでブレイクアウトルームを使って、個人で対話をして教えたりしました。週2回くらいやって、週1回筋トレをみんなでやろうってなりました。1回やったのは、NIKEのランニングのアプリを使って、みんなでランニングをして結果を集計して、ランキング上にして、モチベーションにつなげていました。体力が落ちないようには工夫していました。

―平均どのくらい走っていましたか
特にないですね。前の先輩がやっていたので、私が役職についたのが先月だったので、結果は先輩が持ってて、何キロ走ったとかは言われてないですね。

―主将として、チームをこの状況で束ねていくのは大変ですか
大会を実施されることが正式に決まって、今までとは同じ形式ではないですけど、決まったことでみんなの目標が一つになっていってるので、他の部員たちが自ら目標に向かって、同じ方向を向いているので、そこまで大変ではないですね。部員たちのおかげでそこまで私は負担に感じていないです。

―立大少林寺拳法部らしさを教えてください
みんな結構部活に対して熱心だし、ひたすら練習するのもそうだが、分析力に長けている。普通の練習と違って私たちがやっているのは演武なので型など他人から見てどう評価されるかが大事。戦って勝つのではなく、審査員が評価して得点が高かった方が勝つ競技なので、ひたすら自分が頑張るだけではなく色々な角度から動画を研究したり分析したりして成果に結びつけていく能力が他の大学や部活と比べても長けていると思います。

―チームの今年の目標は
大会が順位が出る形ではなくなってしまったので、結果重視の目標ではなくて、自分自身がしっかりと目標を立ててそれを達成するという抽象的なものになってしまうんですけど、自己成長というところですかね。

―澤田さん個人での目標はありますか
少林寺拳法って、「柔法」と「剛法」がありまして、技をかけて投げるのが柔の部分で、突いたり蹴ったりするのが剛の部分で、その2つが組み合わさって、演武になるんですけど、うちの大学はOBがこの状況で練習に来れなくて、技術を教えきれないので、私が技をしっかりと教えられるように、もうちょっと技術を高めて教えていこうという目標を立てています。

―今はもう練習は再開されているということで、練習を再開する中で今までの練習と変わったことはありますか
少林寺拳法部は突きとか蹴りとかの際には気合いを出すんですけど、マスク着用で気合いは出さないっていうので、声もなるべく出さずに練習するっていうことと、あとは最近解除したんですけど、相対練習っていって2人で組み合ってやる練習っていうのも、ペアを固定して他の人と接触しないように一人で行うか、固定のペア、大会で組んでるペアだけは接触して大丈夫っていう決まりを作って練習しています。

―お二人の関係性は
主将と副将で同期で私たちの同期は5人しかいなくて、女子が4人、男子が1人。ただすっごい少なくて、苦しんだりしてる同期です。

―人数が少ないことでふぉうきの絆は深まるものですか
そうですね。代替わりしてたくさん仕事が回ってきたりした部分もあって、今までより、より結束して部活を作っていこうっていう雰囲気はあります。

―5人の中で後輩を見ていく中で大変なことは
それこそ、一年生が入ってきた時期がばらばらだったり、毎年の流れが崩れてる部分があって、それをどういう風に組み立てていくかとかっていう部分は大変でした。

―どこか変革した部分などはありますか
入部した時期がほんとばらばらで4月に入部した子もいれば、最近9月くらいに入部した子もいて。1年生をまとめて教えるっていうこともできなくて、進捗がすごいばらばらなので。私たちの部活って週3で平日4日から選ぶいう形式なので、全員集合する日っていうのが1日しかなくて。進捗を同期全員でしっかり確認して、いついつまでにこれを仕上げるっていうのをしっかりと全員で共有して。それこそまだ上の先輩がいるので、その協力も仰ぎつつ後輩指導に努めてるっていう感じです。

―今年1年生は何人入部しましたか
8人です。例年に比べても多いですね。

―モチベーション維持のため個人的に意識していること
今って他大学との交流がほとんどない状態なんですよ。で、今まではこう明治大学とか同志社大学と交流戦を行っていて、でそれで他大学の上手い人の演舞とかを見て、私も頑張んなきゃってモチベーションになってた部分があったので、そういうのをこうなくなってしまった分、私個人で連絡を取り合って、お互いに自分たちの動画を送り合って、感想を言い合ったりとか、そういうところで自分のここだけって視野が狭くなってる部分を広くしようっていう風に考えて。そういうのを意識しています。

―少林寺拳法の魅力は
私が一番魅力だと思っているのは、型をただやるんじゃなくて、やっぱり組み立ての部分がすごい楽しいなって思ってて。さっきもお話ししたんですけど、200種類くらいある型から、どういう風に組み立てていくのか、審査員から点数を高くつけてもらえるような良い演舞をするために、どういう風に組み合わせていくのか、この技を入れてこの技を入れて、でこうリズムはどうするか。で、自分の得意な部分をどういう風に組み立てていれて、相手の得意なものを入れてって、同じ人がやったとしても内容で絶対評価って変わるので、そこの部分がすごい魅力だなって感じます。
―今後の課題を教えてください
経験者だけど、名のしれた高校から来てるわけでもない。周りの経験者はすごいうまいのでコンプレックスを感じている。だから自分で伸ばせるところを伸ばしたい。私は実際に戦う方があっているのでそっちで技術を身に着けて、他の人に誇れる部分を作っていきたいです。

―全体の課題はどうですか
ペアでやる練習はできていませんでした。周りを見る力。間合いを計ったりするなど。実を伴っていない。コロナでできていなかったからそこの部分はこれからの課題です。形だけ整っているけど、攻撃はできていない。見た目だけになってしまっているからそこをこれからどう直していくか。実際に当てないと意味がない。

―チーム全体として今後の目標
立教大学として大学ごとの部門で表彰されることがちょっと少ないかなと思っているので、一年生で入部したときから大学自体をもっと力をつけたいなと思っていて。なんていうんだっけな。大学別でポイント制に表彰されるやつがあるんですけど、あれで入賞したいなと思っていて。それには人数が必要だし、男女比も整ってないと出られる部門が限られて、出れる部門が少ないほど1位を取ったとしてもポイントで負けちゃうんですね。そういう状況が、今ちょうど部員数も整っている時期なので狙えるのではないかなと思って、部員全体の実力を底上げしてそこで入賞出来るようにしたいなと思っています。

―立教大学の少林寺憲法部の強み、魅力は
自由というか学生がやりたい事をOB監督とっても支援してくれるし、そこまで決まりきった事をやらなきゃいけないことはないのでその代の幹部が自由に部を運営するときに新しい事を始めるのと支援してくれるし自由にやらせてくれる部の雰囲気はうちだけじゃないかなと思っています。

―練習メニューも作っているのでしょうか
私たちがやっています。

―少林寺拳法部は団結力がすごい印象があります
団体競技じゃなくて個人競技なのに仲がいいのは魅力かなって思います。大会でペアを組むときに同い年同士も組むんですけど先輩後輩で組んだりするんですよ。ペア同士ですっごい仲良くなったりとかそれ以外だと練習の時に個別で教えに行くので会話の中でどんどん仲良くなってとか他の競技と違うのかなって思います。
―人に合わせて指導は変わりますか
その子は何がわかってないのかをうまく引き出さなきゃいけないし。一人一人癖が違うし。少林寺拳法って流派とかないんでやり方がすっごいあるんですね。だから、どれ正しいどれが間違ってるともいえなくて。全部が正解でその子に合うものをどうやって見つけ出すかが必要。自分の意見を押し付けるだけじゃなくて、他の人の動きとかみてこういうの合うんじゃないとか提案してみたり、そういうので育てていくっていうのは難しい点かなって思います。

―相互のやる気がないと成立しないですか
そうですね。正解がみんなわからない状態でやっているので。私たちは自信を持ってこれが正しいよって提供する上でこっちもあるけどねって別の案も提示してあげるのが大事ですね。

―カウンセリングみたいですね
みんな迷い始めるんですよ。正しいフォームとかがある競技と違ってないから、ずっと続けている熟練の人とか全然違うんですよ、一人一人。教えることも全然違くて、技一つ一つ。あれどれだろうみたいな。だから、一人一人の個性を尊重してあげるっていうのは大事。今は私たちの数が少ないからそこまでサポートがうまくできないんですけど。後輩たちの力も借りてうまく教えていければ。

―まさに先程おっしゃっていた青春
そうですね。頭で考えることが多いと思います。運動して運動神経がいいからできるわけでないので。ダンスができる人はうまいですけど

―ダンスと似ているんですか
人の真似できる人は型やる上ではすっごいうまいと思います。最初は動きをまねることから始めて実際についた時にしっかりとパワーが出るかとかは後に続いていくというイメージが私にはあります。

―見せることの難しさがあるのでしょうか
最初はどこで見せるかとかってチンプンカンプンなんですね。私は経験者だったから入って一年くらいで大学の評価基準みたいなのに慣れて、二年生くらいからどういう風に見せるかって理解できるんですけど。やっぱ、後輩とか同期も昔はそうでしたけどどういう風に伝えていいのか一年くらいずっと考えて、うまくいかなくて。今の個性を重んじて色んな案を提示してあげるってやり方に最終的になりました。

―最後に同期にかけたい言葉はありますか
この状況で大変だし人数も少ないからしっかり団結して頑張りたいねって感じです。

【副将・増田】
―各部の「らしさ」を聞いているのですが、少林寺拳法部らしさはどこにありますか
競技の際に半年間同じ人とペアを組んだりだとか、修練の中でも色々な人と話して、自分がどういう風に競技をやっているかを伝えるっていうのが多いので、コミュニケーションを多く取るのが部活らしさだと思います。

―話しやすい環境があるということでしょうか
部活のことに限らず、親密な雰囲気があると思います。

―コロナ禍で、モチベーションをどのように維持していましたか
毎週筋トレの日と修練の日を2日間設けて、毎週みんなと顔を会わせる機会を作ったり、新入生の歓迎を3年生中心でやっているんですけど、積極的に後輩と関わりを持って部活のことを考えるミーティングをたくさんしたり、そういうもので保っていました。

―新歓活動は苦労されましたか
そうですね。特に今年は食事会とかが無い分、SNSを使ったり、Twitter、Instagramで初めて質問箱を設けて、Q&A方式で部活のことを知ってもらったり、動画とかをTwitterにあげて、フリップで少林寺拳法部のこんなところがいいよってものを出していました

―コロナ禍で部活を運営していく上で苦労したことはありますか
部活柄2人1組で技を掛け合ったりだとか、組でペアを組んだりだとかするのが上達への近道だったんですけど、対面での練習が無くなってしまった分、実際に攻撃する力とか当てる狙いだとかを後輩がイメージを持ちづらかったというのが難しかったところです。

―その中で練習中に工夫していたことはありますか
オンライン練習の時は、画面を見ていると目線が下に行ってしまうので、しっかり前を見るように声を掛け合うだったりだとか、少人数での練習というのを一年生は集中的に行っていて、親子制度のような感じで練習を行っていました。

―対面での練習再開はいつ頃ですか
7月だったと思います。

―実践感覚を戻すためにやっていた練習はありますか
距離を取っていままでやっていたことを三密を防ぎながら、みたいな感じで、遠くても二人一組で「ここに当てるんだよ」という感覚をしっかり身に付けてもらう感じの練習をしました。

―距離を取って練習されていたんですか
距離を取って「ここね」みたいな感じでやってました。

―新体制になってからの苦労はありますか
私達の部活は9月に幹部交代があるのですが、今年の4月から9月は前の幹部の先輩が行っていて9月の上旬に幹部になったばかりで日が浅いんですけど、9月になってから新入生がパラパラ入ってきて、前幹部が行っていた練習をしている一年生と、私達が新体制になってからの一年生の底上げを図るのが今はすごく難しいなって感じています。

―練習はどこで行っていますか
基本的には新座なんですけど、コロナの前までは月曜日に池袋のポールラッシュでやっていて火、水、木、金の4日間は新座の道場で、土日の1日を新座でやっていたんですけど、オンライン授業になって家で受けてから新座に来るので、練習時間が夜遅くに偏っちゃっています。今までは練習を切り上げて自主練習の時間を取れたんですけど、今は閉館ギリギリまで全体練習の時間を取っているので、組演武の練習、大会に向けての練習の時間が例年よりも少なくて今はそれが不安です。白帯の一年生は初めて1ヶ月の子とかもいるので、8日に大会があるんですけど、間に合うのかなって言う不安があります。

―始めてめてすぐに大会があるということですか
全国から少林寺拳法をやっている人がくる大規模な大会なのですが、せっかく日本武道館でやるんだったら後輩にもやりきったっていう満足感を得てもらいたい、演武をしてやってよかったって思ってほしいんですけど、それくらいまで間に合うかが心配ですね。

―家での練習と道場での練習は違いますか
全然違いますね。私はみんなと顔を合わせて練習をする、会って話をすることもモチベーションの1つなので、実際にみんなの動きを生で見るのも違いますし、会って「元気だった」って話す喜びもありますし、今はマスクを着けてて気合い(声のこと)を出しちゃいけないルールになってるんですけど、「あー」とか声を出して見る演武の迫力も全然違うので練習も制限されている感じはあります。一番違うのは家だとフローリングなんですけど、道場は畳なので飛んだり受け身を取ったりするんですけどそれもできる環境は断然道場の方が体が痛くならないというのがあります。

―これからに向けて、意気込みをお願いします
コロナの影響で大会も無くなってしまって、新入生の入るタイミングもバラバラになってしまったこともあって、上級生や黒帯を持っている人たちは基本から応用に向けての練習をたくさんしたいなって思っているのと、新しく入ってくれた子とか色帯の子たちは、なるべく基本の形を定着させられるように白帯の子達でも入部時期に関わらず実力をしっかり、足並み揃えて成長できるように、させてあげられるように頑張りたいです。

(10月24日、取材・編集 川隅・五十川・唐鎌)

「立教スポーツ」編集部では現在の活動状況を鑑み、10月号は紙面の発行を行わず、Web記事(クローズアップ)での情報発信をする運びとなりました。取材にご協力いただいた各部の皆様、ありがとうございました。

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