【ヨット部】 #10月クローズアップ対談企画 松永×後藤 共同生活で培われる人の繋がり

夏に神奈川県の逗子を訪れた。目線を海岸から沖合の水平線に向けると、ユリのマークを誂えた帆が目に入る。立大ヨット部である。自然を相手に練習を重ねるヨット部の魅力やその原動力を探るべく、立教スポーツ編集部は主将・松永寛太郎(理4)さんと副将・後藤瑠那(観4)さんにオンライン上でお話を伺った。

取材日10月7日

参加者
主将・松永寛太郎(理4)さん
副将・後藤瑠那(観4)さん

練習制限、共同生活中止…コロナ自粛中の活動

ー新型コロナウイルスで活動が制限される時期もあったと思いますが、練習はいつ頃再開されましたか?
松永:7月、まぁちゃんとやったのが7月から。6月後半くらいから許可が出て、7月中は練習再開してました。自粛始まったのは3月の1週目ですね、そこからずっと休んでました。

ー活動自粛中の個人の活動は?
松永:やったのが3つあって。1つが知識の増強です。未経験者が多いチームだからこそ、知識をつけることによって少しでも成長しようってところで、知識のインプットってところに時間をあてました。

―具体的にどのように知識をつけましたか?
松永:何か参考になる資料だったり、それぞれがまとめて問題を出し合ったりだとか、あとは、あるアプリで全日国大会の船の軌跡がみれるものがあって、レースを客観的にみれるんですけど、それをみながらその船の判断してる理由みたいなものを想像して、仮想のレースの中で自分がどういう風にプレーしてるのかを想像してもらったりしました。

―他に活動されたことは
松永:2つ目は、体力ってところです。筋トレとか走りこみとかはやってもらってました。あと3つ目は部活以外のヨット以外のことの繋がりを強くするってところですね。これは部活の中でちょっとしたグループみたいなものを作って、1週間で1回くらい時間をとって、有志で集まってちょっと趣味系の話をするみたいな。料理を作るなり、クイズを出し合うなり、就活の話するなりっていうので。あの時期ってお互いに関係が薄くなるっていうか、あんまり喋る機会無くなっちゃう時期だったので、部活以外の話をする時間を作りました。

ーコロナ期間を経て得たものはありますか?
松永:今まで時間へのこだわりを少し強く持てたのかなと思ってます。今まで5泊6日の合宿を7週間してたので、それがいきなり出来なくなりました。なので一日一日がとても大事で効率的な練習の仕方とか、時間を過ごさないといけないよねということを下級生が心の底から思ってくれました。だからこそ今までの練習よりも密度の濃い時間が増えたのかなと思っています。コロナがなくて惰性で合宿を行っていたらあまり思わなかった部分ですね。

後藤:もう1つ具体的に挙げると、下級生の外からヨットを見る目が養われたと思います。知識のインプット、その成果がすごく練習の再開に当たって見られたというのがあって、コロナでやってたことがコロナで明けて練習が始まって身になっているという実感がありました。どうですかね?

松永:そう、そんな感じ。いや、得られたものとかないよ笑

後藤:笑笑

松永:完璧に失ったものの方が大きいけど

松永後藤: あえて言うならね

写真撮影に笑顔で応える主将×副将コンビ

主将・副将の目に映る立大ヨット部の魅力

―お2人が思うヨット部らしさ、魅力は?
松永:ヨットは自然を相手にするので本番にどれだけ練習の成果を再現できるかっていうところが大事になってきます。いくら情熱を燃やしたところで順位が上がるわけじゃなくて、その日の海の状況に合わせて帆の形をつくるだとか、他の船に対して自分のポジショニングをどうするかっていうことを考えるスポーツですね。なので魅力は常に考えるところです。それが自然とヨット以外の部分にも生きてきます。

後藤:部活としての話をすると、共同生活というところがポイントです。ヨット部に入ったっていうだけの共通点の人たちがいきなり合宿生活を始める。そのなかで今まで自分が関わってきたことがない人たちと話して、同じものをやっていくにあたって価値観が広がっていくっていうのがヨット部の魅力です。

―他の大学にはない立大ヨット部ならではの強みは?
松永:ヨットは大学から始める人が多いスポーツです。その中で中学高校からやっている人たちはやはり一際強いです。強豪校では経験者たちがしのぎを削っている中に未経験者の人たちが入って、その人たちの教えを受けて未経験者たちが全国優勝レベルまで育っていくっていう雰囲気があります。競争が激しいからこそのちょっとした非情さみたいなところがあるのかなと思ってます。逆に未経験者が多いチームになると、みんなが0から始めるから和気あいあいと一緒に強くなろうという気持ちが見えます。立大はその両方を兼ね備えていますね。

後藤:私は、練習のマネジメントとチーム内部のマネジメントをどっちも学生がしなきゃいけないっていうところが他大のヨット部と比べて強いかなと思います。立教のヨット部は私たちが練習の内容とか配置とかも全部主導権をもって決めます。その時に、上手さだけで配置を決めれるわけじゃなくて、どれだけ練習を頑張っているかとかそういう部分も一緒に過ごしているからこそ見えます。その実力と気持ちをどう折り合いをつけていくのかを学生が考えるっていうのが立教のヨット部のやりがい、良いところだと思いますね。幹部として4年になって1年間やってみてすごく難しいなと思った部分でもあります。

―松永さんは主将として、後藤さんは副将としてやってきて、お互いの印象・関係性は?
松永:頼りきってますね(笑)。瑠那は海上マネージャーとして470チームとスナイプチームどちらも客観的な目で見るっていうのを役目としています。瑠那が任されていることは4年生でいったら瑠那しかできないポジションだから、お願いしますという感じで一任して1年間任せきってきました。自分が任されていることに対して100%こだわってやりきってもらえたかなと思ってます。

後藤:んー、めっちゃ個人的には可愛いなと思ってます(笑)。主将としてっていうと、技術でチームを引っ張ってくれてる頼りにしてます。松永が主将に選ばれた理由としてはやっぱり経験値と知識と実力もあって、もう松永しかプレーで主将として引っ張って行ける人は私たちの代にはいないだろうって所で主将になりました。監督たちの期待通りに結果もチームも引っ張ってくれてるし、やっぱ寛太郎が最後話を主将としてまとめてくんないとやっぱり落ち着かないような、私たちの代の主将、シンボルとして今はいてくれてると思ってます。

昨年度の秋インカレにて出廷する松永(当時理3)

自然相手の競技。数々の荒波を乗り越えてきた原動力とは

ーヨット部を続けていく上でのモチベーションは?
松永:モチベーション。えっとー、それはまぁ難しいな。まずそもそも高校のヨット部の経験が一番大きいです。レギュラーになれなくて、サポートメンバーとして最後1年間すごしたっていう経験です。その時にペアだった後輩に自分の経験を色々還元した結果、その子が次の代の主将に選ばれたんです。でその経験から自分の経験とか知識とかを相手に伝えて一緒に強くなっていくってことが結構楽しいなっていうふうに思いました。だから大学では自分と一緒にチームも強くなっていけるようになればなと思ってましたね。今は自分が4年生で引退が近いからこそ、自分が1年生だった時の先輩たちの負けた姿とか勝って喜んでた姿とかが、心の中に残ってて、そういった人の期待に応えられたらいいなっていう、応えられたら楽しいんだろうなっていう、そこだけを思いながら今活動してます。

後藤:私はまぁモチベーションを一言で表すと、人かなっていう感じです。4年間を通して、やっぱり私がプレイヤーからマネージャーになるにあたって、辞めようと思った時期もあったし、でも10年後20年後の自分がもしこのヨット部の仲間たちと縁を切って最後まで一緒にいられなかった自分を想像すると、辞めて後悔するっていう後悔の気持ちの方がすごく大きいだろうなって思ったから、ずっと続けてきました。
なんか、この一緒にいる人たち、先輩も含めて、先輩同期後輩含めて、やっぱり人生の宝になるだろうと思った。その人たちと私は最後まで海で一緒にいたいと思ったから、人を大事にしようと思ってヨット部をずっと続けて、モチベーションを保ってきたって感じですかね。今はやっぱり勝ちたい、勝つために自分ができることをしようっていうモチベーションがある感じかな。

(取材 渡邊大樹/編集 木下奈津希)

「立教スポーツ」編集部では現在の活動状況を鑑み、10月号は紙面の発行を行わず、Web記事(クローズアップ)での情報発信をする運びとなりました。取材にご協力いただいた各部の皆様、ありがとうございました。

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