【軟式野球部】投手、声出し、運営、多方面から盛り上げた六大学の顔・今井寛
「様々な人に出会うことができてよかった」。選手の傍ら、連盟の運営を担っていた今井(法4)はそう語った。自信の選手としての活躍よりチームの勝利を優先し、ベンチから声を出し続けた。現役最後の試合はチームの活躍、円滑なリーグ戦運営を支えた男だけが味わうことができる思い出だった。
偶然の転向
立大に進学が決まったのち、インターネットでサークルや部活の情報を収集していた。小中高と野球に打ち込んでいた今井にとって、当然野球系の団体が目を引いた。この時既に、身内の紹介で土日に人力車のバイトをすることが決まっていた。平日に活動を行なっている軟式野球部であれば両立が可能であると惹かれて入部を決意。高校まで内野手であったが転機が訪れる。たまたま務めた打撃投手としての投球が評価され、投手転向を打診される。ポジションにこだわりのなかった今井は転向を決意した。
変化した意識
高校までは「自分が試合に出て活躍したい」と野球に打ち込んでいたが、大学では気持ちが変化した。「うまい人が頑張ってチームが勝てば良い」と思うように。「どうせやるなら楽しい方がいい」。自身はベンチから盛り上げ役に徹した。ピンチの場面では投手を鼓舞する声を出し、切り抜けるとベンチの一番先頭に立って好投をねぎらった。今井は選手以外に「連盟担当」と呼ばれるリーグ戦運営にも携わっている。仲の良かった岡(19年卒=17年度連盟担当)の話を聞く中で魅力を感じ、やってみたいと思うように。「コミュニケーション力が高い」という観点から、岡にも背中を押されて運営に携わることを決めた。チームとして、連盟全体として支える裏方役に徹するように。
六大学の輪
「六大学全体を楽しめた」。連盟担当を担ったことで得たことは大きかった。最大の収穫は多くの人に出会えたこと。他大学の選手や関係者と知り合うことができた。様々な人と食事に足を運んで親交を深めた。相手のスタメンが全員知り合いである試合もあったという。そのように仲の良い選手たちとしのぎを削って対戦するのはとても楽しかった。特に仲の良かったのは早大の井内(4年)。同じ連盟担当で何度も飲みに行った。今井にとっての現役最後の出場は奇しくも親友との投げ合いだった。今井と井内がそれぞれ先発で登板し、投手戦を繰り広げた。「野球人生で一番思い出に残る試合だった」(今井)。連盟を通して得た人との繋がりがもたらした思い出である。
異国より
今井は3年間の部活動を終えて、現在イギリスに留学している。部活を引退したら行こうと決めていたという。異国の地でも野球熱は冷めない。現地でかろうじて売っていたグローブを手にし、「Brighton Baseball Club」で野球をしている。「自分が助っ人外国人なので不思議な気持ち」。野球文化が根強くない地で奮闘している。「立教らしさを大切に、自分たちのやりたいように頑張って欲しい」。リーグ戦で後輩たちが輝く姿を観に行くことはできないが、異国の地よりエールを送った。