【ボート部】苦境に負けない!見据えるはその先の大勝負 ~特別インタビュー(主将・橋本)~
新型コロナウイルスは、大学スポーツ界でもその猛威を振るっている。先月、全国高校総体や夏の甲子園の中止が話題を呼んだが、同じように大学スポーツの諸大会も中止や延期に追い込まれているのだ。
もちろん、ボート部も例外ではない。春の主要な大会は中止となり、合宿所も解散中と苦しい状況が続いている。そんなボート部の現況や自粛期間中の取り組みについて、主将の橋本(コ4)に話を聞いた。
◇現状について◇
―現状に対する感想
部としての活動が禁止とされているので、一応自分は合宿所にいるんですけど、寮にあるものは使用できないということで、ウエイト器具とか、エルゴとかは使ってないんです。やることが限られるんで、歯がゆいですね。
―寮の器具が使用できないのには理由が
部で購入している、部の中の施設ということで。ちょっと厳しめなんですけど、活動は禁止とされているので、こういうのも使わないようにしようって決めています。今は本当に外で走ったりとか、家で自重でトレーニングしたりとか、そういうことしかできてないですね。
―コロナ関連で、生活が変わってきたのはいつ頃
3月に学校から連絡がきた時に、一時解散はしたんですよ。基本的に帰れる人はいったん実家の方に帰ってもらって。それで1週間くらいしてまた再集合しました。でも4月の半ばに緊急事態宣言が出たころにまた解散、という形になりました。
―部員の声は
休日には「Zoom」を使ってトレーニングしたり、平日もグループで練習をしてるんです。でもずっと同じ練習しかできないんで、やることは限られています。だからボートの練習ができないっていうことに対しては、かなり心配する声はありましたね。
―艇にも2か月近く乗っていない
そうですね。艇での練習も2か月近くやってないので、みんなは艇に乗りたがってるって感じですね。
―普段なら今(5月から6月)はどういう時期か
普段だったら9月の前半にインカレがあって、4月の中頃にも日立明(3大学レガッタ)がある予定だったんですが、それ(日立明)がなかったので。本来は6月っていうと試合が終わって、次の試合に向けてモチベーションを上げる時期ですかね。
―部の幹部内でなにか話し合ってることはあるか
自分たちもこういうのは初めてっていうか、本来なら目標決めてやっていこうと決めてた中で、ちょっとモチベーションが下がってしまったところはあるんですけど、やっぱり最後のシーズンなんで、「Zoom」とかでミーティングして、目標の再確認をしています。先のインカレ自体はまだ中止とは決まってないので、そこに向けてやることは何なのかを幹部の中で話して、全体に伝えるという形を取っています。
―再確認した目標とは
新チームになってからは日立明で男女優勝、インカレで出場したクルーが全艇入賞っていうのが目標だったんですけど、改めてインカレでは対抗クルーは優勝して、出場したクルーは入賞できるようにっていう目標を立てました。
―この1か月半を振り返ってみて
やっぱり部員とはもっとコミュニケーション取っておけばよかったなあっていうのはちょっと後悔しています。やっぱりその距離が離れている分なかなかコミュニケーションが取りづらくて、部員がどんな状態か把握しづらい環境だったので。やっぱり1ヶ月半も部員と接する機会がないっていうのは、不安な部分も結構多かったですね。
◇自粛期間中の取り組み・新歓について◇
ー「Zoom」で練習をしていると伺ったが、どんな練習をしているのか
一応練習は自分たち週11回やっているんですけど、朝練に関しては授業とかもありますし、あと基本朝の練習はランニングメニューをしようということで朝は行っていないです。午後の練習に関しては、家でできるサーキットメニューっていうのを自分がコーチの人と考えて、それを小規模のグループで、平日だったら学年のグループで、週末は学年を混ぜていくつかのグループに分けて練習してるって感じですね。
ー手応えは
やっぱり一人でやるよりは皆でやった方が楽しくできますし、キツくなってきた時って自分の中に甘えとか出てくると思うんですよ。でも誰かが画面越しででも傍にいるってことを考えると、多少キツくても「あいつが頑張ってるから頑張ろう」っていうような気持ちになれてるんじゃないかなと思います。
ーYouTubeに動画を掲載している
発案したのは新歓担当ですね。「新歓できないからどうしようか」ってなった時に「YouTubeやります」ってうちの新歓担当が考案してやっていますね。
ーSNSで活発な新歓活動をしているが手応えは
あまり手応えはないですね。一応体育会の中の「部活紹介」とかで人は結構来てくれたんですけど、まぁやはりその中から入部ってなるとうちの部活はハードルが高くて、他のメジャースポーツと比べて知られていないマイナーなところがあるので。一目見ただけだと分からない部分が多いので、実際に見なきゃ決められないっていう子が多くて、今各部の場所にいけないじゃないですか。それでなかなか新入生を捉えきれないっていう感じですね。
―ボート部はいつまで入部できるか
全然いつでも入部自体は大丈夫です。通常の新歓は四月中に決めてって話はしてるんですけど、今は新歓もこんな感じなので。
―アスリート選抜の二人は
僕まだ話せてなくて、あんまり溶け込めてないんですけど。やっぱり同期は欲しいと思いますよ。
◇今後について◇
ー自粛期間は続きそうだが、今後もトレーニングという形で続けていくのか
そうですね。一応シーズン中なので継続していきます。同じこと続けているとマンネリ化するので、そこへの対応とかも6月に入ったら考えていこうと思っています。
-具体的には
そうですね。今のところは、ランニングとかのメニューでは各自の家の環境の問題でこっちが提示してもなかなかできなかったりするので、そこは各自でできるように例としてこういうメニューがあるよっていうのを提示しておきながら、応用しながらやってくれって感じで。他は上半身と下半身といつも自分たちがやっている、別の種類のサーキットがあるんですけど、そこの種目を少し変えていこうと考えています。
―自粛後は何がしたい
チームとしては、通常の練習に戻って、水上の練習をいち早く自粛後は多くやっていきたいという風に思ってはいます。
―今一番食べたいマネ飯は
唐揚げですね。
-唐揚げが美味しい
うまいですよ。特に自分の代は美味しいんじゃないかと。
ー今後の目標について
まだ自粛は続くので、モチベーションを維持するというのは今後のチームとしての目標かなと思っています。なかなか試合もできていなくて、競技もできてないですし、練習もいつもどおりできてないのでモチベーションはガタッと下がってきたので、もう少しの辛抱だと思うので、部活動の再開までもう一回モチベーションを維持することをチーム全体としては目標にやっていければいいかなと思います。個人的には、部員にはこの期間は本当はシーズン中だけど、いつも通りできないから、実家に帰ったとしても自分の準備期間として意識してほしいっていう話はしたので、自分はこの期間を部活が再開して始まるまでの準備期間として、やるべきことを必ず毎日やり遂げていくっていうのは目標にしています。
ー数字的には
インカレでは1位を取るというのがチームとして掲げている目標です。
緊急事態宣言は解かれ、街には少しずつ日常が戻ろうとしている。立大でも6月3日から図書館の限定開館がスタートするなど、一歩ずつではあるが着実に元の生活へと近づいてきた。しかし、まだ予断を許さない状況であることに変わりはない。
苦境はまだまだ続くかもしれないが、インカレや全日本選手権といった勝負の時は必ずやってくる。その大舞台で全艇入賞という目標を果たすことを目指し、選手たちは今日もそれぞれ自宅で鍛錬を積む。いつかまた艇の上に戻った時、自分が誰よりも速くあるために。
(取材、編集・田川怜奈、濱渡晏月)