活動自粛、新歓中止…“異例づくめ”の今、体育会部活にできることとは
立教大学学生部は6日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、池袋・新座キャンパスで予定されていた今年度の新入生歓迎活動(以下新歓)をすべて中止すると発表した。
先月23日時点では、活動の規模や内容を縮小し5月7日〜13日の日程で行う方針を示していた。しかし、国内感染のさらなる拡大が懸念されている状況を受け、同日程で行う案も白紙に。対面での新歓は全面的に禁止となった。
本来なら構内出店や屋外でのデモンストレーション、ビラ配りなどを行いながら入部希望の新入生を集める期間。例年、池袋キャンパスでは正門から1号館へ行く通路や「四丁目」付近に多くの学生が集まり、各部による熱心な新歓活動が行われていた。
しかし、学生部の決定により「『対面での説明会や歓迎会、食事会等の開催』といった、人が集まることに繋がる活動は中止」に。部活動自粛期間も来月6日まで続き、各部の学生たちにとっては手も足も出ない現状だ。
それでも活動自粛を逆手にとった取り組みが見られている。SNSを利用した宣伝活動に力を入れる部が多く、年間スケジュールや部員の紹介、一問一答形式で質問に答えるなど、工夫を凝らした方法で部の情報を発信しているのが印象的だ。
特に革新的な取り組みを行っているのは、153名の部員が所属する女子ラクロス部だ。同部は9日、新入生同士が交流することを目的とし、LINE電話を利用した「第1回新入生お友達になろう企画」を開催(第2回は13日に開催予定)。現役部員が仲介役となり、参加者26名が自己紹介やクイズを楽しんだという。
ラグビー部や応援団はZOOMを利用したオンライン説明会を開催。ラグビー部は「選手」と「学生スタッフ」の2つで時間帯を分けて開催するなど、新入生が参加しやすいように工夫し、文章だけでは伝わらない部の情報や魅力を伝えた。
斬新な新歓活動を行える一方で懸念点もある。
例年、食事会や練習見学に参加した上で入部を検討する新入生が多く、SNSの情報のみを頼りに入部を即決するケースはごくわずか。学業上の都合や経済的事情などのさまざまな不安を抱えた新入生とっては、「部の雰囲気」を直接感じることができないのは酷だろう。
個人情報の管理徹底や、発信する内容の精査も必須だ。SNSで発信した内容は新入生のみならず、学内外の不特定多数の利用者も閲覧可能となる。学生部も「個人情報の取り扱いについて」の留意点を挙げており、「情報を発信する際は、新入生の誤解・混乱を招かぬよう慎重に」、「公開する情報は必要最低限にしてください」と注意を促している。
異例づくめとなった新年度の幕開け。体育会委員長の玉真拓雄(済4=相撲部)は「体育会にとっても新入生にとっても、直に関わり合うことができないのは大きな痛手」と無念を語る。それでも、各部がSNSを利用した新歓活動を行っていることついては「良いアプローチ方法であり、部を超えた関わり合いも見られる。体育会特有の“横のつながり”のたまものだと思う」と感心しており、体育会本部としては「部を超えた発信をしていく。新入生向けのオープンチャットの準備も進めていきたい」と前向きな姿勢を示した。
収束の兆しが見えず、不安な気持ちも大きい。それでも、今だからこそ、学生たちは独自の切り口で新歓活動を行い、画面の向こうにいる新入生に部の魅力を発信している。今はじっと耐える時期。いつかは画面越しではなく対面で、マスクを外して新入生を迎え入れる日が来ることを切に願う。
(4月12日・小根久保礼央)