【スケート部フィギュア部門】〈4年生引退特集〉銀盤に刻むスケート人生の軌跡。澤野(済4)が語る「私にとってスケートは…」
怪我と向き合い続けたラストイヤー。
ーラストイヤーを振り返っていかがですか。
この1年間は、就活が終わったあとに手術をして、本当はバレンタインカップに出られるようにって頑張っていたんですけど。まあ難しい。3分滑らなきゃいけないっていうのが難しいっていうのもあって。2月から部練に復帰して、最後の演技会に出られるように頑張ろうっていうふうにしたんですけど。試合としては3年生のインカレが最後になってしまったので正直落ち込んだし。同期とか下級生の演技が見れない。人が滑っている姿を見るのが辛くて。就活とかもあった時期だったし休部もしてたから行けなかったこともあったんで。その子たちにとってその年最後の演技だったりするものもあるので、本当は行ってあげられれば良かったかなとは思ったんですけど。結構辛かった1年かな。
ー怪我はどのようなシチュエーションでされたんですか。
1年生の終わりの春合宿で1日目にイナバウワーをやったら、膝の皿が外側にはずれてしまって。それから1年休部させてもらって2年生は全く滑らなくて、3年生になってまた6月くらいから復帰して、東インカレに出て。結構無理無理やっていたんですけど、インカレの時にジャンプを跳ぶ前に転んでしまって、同じ左足の後十字靭帯も切れてしまいました。一応歩くこと自体はできたんですけど、走ったりとかはやっぱり難しい状況で。それで手術をしなければいけなくなってしまいました。
全てを出し切った夢の舞台・インカレ。
ー澤野さんの3年生のインカレがとても印象に残っています。怪我した軸足が最後のスピンで耐えられなくなりその場で崩れてしまって。曲が終わっても最後のポーズまで踊り切るという全身全霊の演技に感動しました。あの時はどのようなお気持ちだったんですか。
前半で足を痛めてしまったんですけど、後半まで滑らないと棄権になっちゃうんですよ。棄権にはしたくなくて。たとえどんな結果でもいいから出場したっていう記録は残って欲しいっていう思いで最後まで滑ったって感じです。
ーインカレ前にインタビューさせていただいた時、「ジャンプを入れないと試合には出たくない。5級としてのプライドがある。」とおっしゃっていました。怪我が悪化するリスクがあってもジャンプに挑戦することができたのはなぜですか。
私は小学生の頃からスケートをやっていて。お世話になってた先生に「自分ができることを最後まで一生懸命やって試合で結果を出せなかったら、普段練習で出来ていてもそれはジャッジには伝わらない。」って言われて。本当にすごい納得したし、結果が出る競技なのでその言葉を思い出して。もちろん体に負担がかからないのはシングルジャンプではあったんですけど、1度でもインカレに行けるかもしれないっていうチャンスを逃したくなくて。シングルで跳んだら多分点数的に足りないんですよ。元々スケーティングスキルが良い訳ではなかったので、どうしてもスピンとかジャンプとかで点数を稼いでいかなきゃいけなかったので。4年生でインカレに出るっていうのも考えてはいたんですけど、下の学年に5級の子で上手い子が何人も入ってきたら自分が学校内で選ばれるか分からないっていうのと、1年生のときは6級と5級が一緒に試合をしていて、部選考に立たせてもらったんですけどやっぱり東インカレには出られなかったんですよ。だからその出られた東インカレを無駄にしたくなかったから、自分が跳べる全力のものを跳んで、それでも行けないならしょうがないなって思ったんです。そこで諦めることができなかったから跳んでしまったって感じですかね。
氷上に立ち続けた理由。
ー充実感や達成感を与えてくれた一方で、怪我を負うことにもなったスケート。それでも最後までリンクに立ち続けたのはなぜですか。
理由としては、中学生の終わりに怪我をしてしまって、そこで一旦あのスケートができなくなったのと、あと高校生の時に親を亡くしてしまったので、それでやっぱりスケートを続けていくのは難しいかなって思ったんですよ。でも大学生になったら大学でも部練があるって聞いて。そこでならコーチにつくよりは安いから練習できるかもしれないって思って。そこでちゃんと4年間練習していこうって決めたから、だからずっと続けられました。元々好きなことだったっていうのもあるし、続けられる環境があったから。
ー後輩に向けてメッセージを残すとしたら。
技術的なことはあんまり教えるのは得意じゃないんで、1つ言えることは体のメンテナンスと、アイシングをするとかウォーミングアップをちゃんとやること。あと道具のメンテナンス、ひもを切れないようにするとかエッジをちゃんと研いでから合宿に行くとか、ネジを閉めるとか。結構そういうちっちゃいところから怪我って起きるんですよ。もちろん自分の不注意とか体調が悪いとかあるかもしれないけど、元を辿ってみれば「あの時もうちょっと体動かしてからやればよかったな」とかそういうこともあると思うので、リンクに乗る前の準備もちゃんとして滑るように心掛けて欲しいと思います。
私にとってスケートは、「最高の舞台」。
ー澤野さんにとってスケートとは何ですか。
「最高の舞台」かなって思います。自分が練習してきたことを発揮できない時もあるけど、上手くいったら嬉しいし、もし転んでも「ガンバ!」っていう声援で私は最後まで滑りきることができたし。普段はあまり色んなことを考えて練習しているタイプでは無いけれど、自分の練習してきた思いとか、あとは監督とかコーチに言われたこととか、合宿での経験とか色んなことを思い出しながら滑る機会だし。あと、なかなか1人で前に立って色んな人から見られる機会ってそんなに普通に学生生活していたら無いと思うんですね。もちろん自分が注目されることが嫌いな人もいるかもしれないけど、そうやって見てもらえる機会って自分たちとかだったら結婚式くらいしかないんじゃないのかなって思うので。綺麗な格好して色んな思いを込めて滑っていくっていう経験ができるのはスケートだけだし、それをすることが許される環境とか舞台が用意されているってところが素敵だなと思います。
(2月8日 取材・編集 大上文・大類遥)