【野球部】「打破」秋季リーグ戦　明大戦展望

早大に３季ぶりの勝ち点を収め、勢いに乗っているタテジマ軍団。最終カード、彼らが挑むのは春季日本一の明大だ。先日、プロ入りを決めた森下（４年＝大分商）と伊勢（４年＝九州学院）を擁する鉄壁の投手陣。順位は上回るものの相手にとって不足なし。難攻不落の投手陣を崩せるかが命運を分けるだろう。

日本一の立役者は伊達じゃない。第１戦の先発が予想されるのは絶対的エース森下。最速154㌔のストレートに加え、縦に大きく曲がる天下一品のカーブで打者を惑わす本格派右腕だ。特筆すべきは抜群の安定感。リーグ１位の投球回に対して防御率は1.14を誇っており、NO.１投手に相応しい結果を残している。第２戦の先発には伊勢が登板するだろう。サイドスローに近い投球フォームから放たれる速球はなんと150㌔超。森下に引けを取らない力強い投球と、決め球として使える多彩な変化球を投げ分けるタイプの投手だ。

勝利のためには投手陣の攻略は欠かせない。キーマンは現在首位打者の座にすわる山田（コ１＝大阪桐蔭）。バッティングのセンスもさることながら、注目すべきはその選球眼だ。四死球の数は９とリーグトップレベルであり、安打数と合わせると無類の出塁率を誇る。明大の多彩な投球術に惑わされず４番としての責務を果たしてくれるだろう。最終カードに向けて主将・藤野（営４＝川越東）も黙ってはいない。今季、思うようなバッティングができずにいたが東大戦以降は復調。チームの主軸として勝利に貢献した。早大戦では「悔いを残さないよう自分のベストを尽くす」と語っていた藤野、主将の意地を見せれるか。

六大学随一の投手陣を支えている明大打線。キャリアの長い４年生打者が多く並ぶ。２人の「KITA」に要注意だ。１人は現在打率.375でリーグ内４位の副将・北本（４年＝二松学舎）。打率.333で終えた春季よりさらに成長した攻守の要が牙をむくだろう。そして、もう１人の副将・喜多（４年＝広陵）。183㌢91㌔の大きい体から繰り出される力強いスイングが持ち味の長距離砲だ。明大の誇る４番の一発には警戒したい。

　「２人のKITA」に対するは、一昨年の日本一に貢献し数々の修羅場を乗り越えてきた田中誠（コ４＝大阪桐蔭）と手塚（コ４＝福島）の２人。初戦は不動のエース・田中誠がマウンドに上がるだろう。田中誠は早大３回戦で今季初完封を果たし調子は上々だ。早大戦後には明大戦に向けて「（森下選手に対して）胸を借りる気持ちで思い切り投げる」とコメント。明大を日本一に導いた投手との投げ合いに向け闘志を燃やしている。ここまで全てのカードの第２戦の先発を務めている「サンデー」手塚の防御率はリーグ４位の0.92。これは明大の森下、伊勢をも凌いでいる。これまでチームを牽引してきた４年生投手の雄姿を是非見届けてほしい。

　時は来たれり。開幕から２カード落とすも、東大・早大戦では逆風に負けず勝ち点を挙げた。流れは確実に来ている。早大戦後、溝口監督（90年度卒＝湘南）は明大戦に向け、「ベストを尽くして、良い表情でやってほしい」と語った。神宮の秋空の下、野球を愛し青春をささげた４年生の学生最後の戦いが今始まる。
（10月24日・澤部衛）