【野球部】桐光出身の記者が見た立大のサブマリン 中川颯の軌跡と挑戦④~復調と新しい自分への挑戦

思いっきり腕を振る!

考えるあまりにどこかで弱気になっていた。調子が落ち込む中で「どうやったら抑えられるだろう」ではなく、無意識に「どうやったら打たれないか」とどこか弱気な考えで投球していた。「今思えば自分の投球の中でも置きにいっていた部分があった」と当時を振り返る。結局一番足りなかったものは技術ではない。怖いもの知らずの1年次に持っていた“相手を本気で迎えうつ気持ち”だった。
転機となったのは「自分が抑えてチームの流れを変えたい」と志願登板した慶大との2回戦。先発として初めてマウンドへ上がった。「やってやろう!」と細かいことは気にしない。ミットをめがけて思いっきり腕を振った。結果は6イニングを投げ、1失点。不穏な空気が漂う中でチームの勝利を手繰り寄せた。「あの時に自分の中で何かが吹っ切れた」その後も先発した明大1回戦で7回1失点の好投を見せる。徐々に本来の投球を取り戻していった。

インタビューに応じる中川

上級生としての挑戦と発見

復調のヒントを得て、学生生活後半戦。上級生として新たな覚悟を持ち、3年目のリーグ戦へ挑む。今年は投球だけではない。「打者としてもチームを引っ張っていける存在になりたい」と二刀流への挑戦を始めた。本格的にバットを握ったのは高校以来。球の球威や木のバットの質感、何もかもが違う。新しいバッティングスタイルを確立させることから始まった。
キャンプでは竹葉(コ3=龍谷大平安)と変化球を織り交ぜて打撃練習。ビデオを見直すなどして自分に合ったフォームを研究した。その他にも三井(コ3=大阪桐蔭)、中嶋(コ3=佼成学園)など様々なタイプの打者と練習を共にし、自らのフォームを探し続けた。身体面にも磨きをかける。体重を増やし、体力強化につとめた。球威のある球に力負けしない体づくりを徹底した。「一見、高校時代と変わらないバッティングフォームだが、体の使い方の感覚は全く違う」と自身でも手ごたえを語った。

守備では1塁手として出場。回数を重ねるごとに感覚を取り戻していった

打者としては3番、5番など上位打線をつとめた

打席に立つことで学ぶことも多い。オープン戦で対戦する相手は、大学や実業団など様々だ。速球派の投手や技巧派の投手などと対決する中で、打者目線ではタイプ別に勝負の仕方を確立させた。投手目線では打席での経験を踏まえ、「自分が投手であれば相手を追い込んだ時にどこに投げるのが最適か」を考えた。打者の立場を体感し、理解を深めたからこそ、より効果的に抑えるパターンを掴んだ。

“二刀流のサブマリン”復活へ

順調に力をつけていくも、決して甘くはない二刀流への挑戦。最後に「不安はありますか?」と質問を投げかけた。対し、「成功しても、失敗してもきっと自分にプラスに働く。でも後悔のない野球をしたい」と彼らしい、どこか強気で謙虚なコメントを残した。そこにいたのは恐れを知らない、挑戦心溢れる1年次の時のような彼の姿だ。
インタビュー後の色紙に書いた今年の目標は“自己革新”。大きく変わった上級生としての心とプレースタイルで自身を陶冶し、チームをより良い方向へと導くことを掲げた。まもなく開幕する六大学野球春季リーグ。新しい“立大の二刀流サブマリン”中川颯に目が離せない。

今年のテーマは“自己革新”身も心も新たに開幕を迎える

(4月6日/取材・文 山口史泰)

■応援メッセージ■
桐光学園高校野球部
野呂雅之監督
大学入学直後、右も左も分からない中でリーグ優勝。全日本で優秀な成績を残し、なおかつチームに貢献出来たことは良かったと思います。ただ、「1年生の時が良かったね」とならないように3年、4年とシーズンを闘ってください。また立大を優勝へ、日本一へと導く立役者となれるように、なおかつ個人的にも飛躍し、「どこまで伸びるのだろう」という周りの期待が持てる選手になってください。

 

 

 

 

 

RAKUNESS
若林孝誌さん
小さい頃から見てきた選手なので、あらたまって考えると中々思いつかないですね(笑)なのであえて短い一言で応援します!「颯の活躍が俺の夢でもあります!今シーズンも頑張れ!楽しみにしているぞ!!」

 

 

 

 

取材に協力してくださった皆様ありがとうございました

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