【ラグビー部】去年の入れ替え戦での悔しさは、今年の入れ替え戦で晴らす
今でも、時々あの瞬間がフラッシュバックする。1年前の入れ替え戦、他の部員からも“ラグビー部の宝”と称される床田聖悟(観3)の身に起きた自身のラグビー人生1番の大怪我。そんな男の復帰が、悲願の昇格達成に向け、大きな1ピースとなる。
13年のラグビー人生で初めての大怪我だった。2017年12月16日、昇格のかかる大事な一戦でスターティングメンバーに選ばれた床田は前半29分、相手の横からのタックルに踏ん張った瞬間に倒れた。すべてを理解する前に、立ち上がれないほどの痛みを感じた。トレーナーが駆け寄り、そのまま同期の楢崎(法3)と負傷交代。ピッチの外に出てしばらくしてから、悔しい気持ちがふつふつと湧きあがった。
診断結果は前十字靭帯断裂。2月に手術を受け、リハビリ生活が始まった。いくら頑張っても周りの時間は止められない。気付けば春季大会が始まり、ベンチの外から試合を眺めていた。同期の藤原(法3)や楢崎が自分の代わりにFBで試合に出てる姿を見て素直に応援したかったが、たまに「俺だったらこうしてたのにな…」と自分がプレーを出来ないことに対して、心のなかで悔しさが積もっていく。
悔しさを持ちながらリハビリに専念。夏明けにようやく練習に合流できるようになった。そこから1ヶ月、ついに10月21日の成城大戦で試合復帰となった。「8ヶ月ぶりの試合で楽しみもあったけど、やっぱり怪我の怖さも半々であった」。プレーが出来なかった8ヶ月という長い期間で失いかけた試合の感覚を少しずつ取り戻す。
復帰から2戦目の明学戦では自分でトライを決めた。「コンディションが徐々に良くなってきている自覚もあるし、今では同期と同じフィールドに立ってプレーできる嬉しさも感じている」。それとともに、入れ替え戦が近づいていることも実感していく。相手は毎年春は勝てるものの、入れ替え戦で負けてしまう因縁の相手である成蹊大。「120%昇格する」と意気込むも、相手に対するリスペクトも忘れず、油断は絶対してはいけないと自らに言い聞かせるように付け加える。
入れ替え戦へのカウントダウンはもう始まっている。相手も一緒。グラウンドも一緒。きっと、その場に立つと1年前を思い出してしまう。「怖いっすね…(笑)」苦笑いで床田は少しの不安を語るが、昇格への強い思いは揺らぐことはない。“ラグビー部の宝”が8ヶ月で味わった感情を晴らすための舞台は整った。今年こそは、やるしかない。まだ見たことのない景色を見るためにー。
(12月7日 取材/編集:佐藤眞子)