☆225号インタビュー企画☆阪神タイガース 熊谷敬宥選手インタビュー全文

高知・安芸ドームの正面玄関前、歴代阪神選手の手形の前で取材班のインタビューに応える熊谷

「もっとレベルアップを…」。満点とはいかない虎1年目。

—熊谷選手にとっての2018年とは
今年は1軍に長い期間いれましたし、ファームの時間が多かったですけど、その中で自分に何が足りないかっていうのはすごくわかりましたし、もっとレベルアップしていかないとプロでは通用しないんだなと思いました。

—守備と俊足を買われてのプロ入りだが、実際に1年間やってみて
入った時は「いけるんじゃないかな」と思ったんですけど、入ってみたらプロでの体型の違いだとか、そういうので戸惑いもあったりして。1軍の試合に出ても簡単なミスとかもしちゃって。プロでは簡単なミスもしちゃいけないんで、その辺の自分の甘さが出たかなと思います。

—大学とプロの違い
打球の速さと、いろんな球場の特徴があるので、そこの難しさもありますね。やっぱりプロなのでいろんな打者がいて特徴が掴めなかったですし、そういうのはすごく苦労したなと思いますね。

—右打ちから両打ちへの転向は俊足を生かすため?
そうですね。左打ちで、少しでも道を開けたらいいかなと思ってやってます。難しいですけど、これをモノにできたら自分の野球スタイルの幅がもっと広がると思うので。

—左打ちのやりづらさ
まだ慣れていないので…。不得意なところばかりですけど、そんなこと言っていられないと思うので。苦手なところばかりですけど、こういう練習を通して、少しでも上手くなっていければいいなと思います。

—秋季キャンプの感触は
まだまだっすね。練習だけなら思った以上にできてるんですけど、実践が入ってくるとピッチャーの球はなかなか打てない。左打席が多くて全然打ててないです。そういった面では感触はないです。

—練習中は平野コーチに笑いながら頭を小突かれる場面も。チームには馴染んでいる?
阪神の先輩とかスタッフのみなさんは結構フレンドリーなので、すごいありがたいかなと思います。

—その時にはどういったアドバイスを
ボールをとらえる瞬間の強さっていうのが、右もそうですけど、左は特にないので。そういったときの体の使い方を具体的に教わったりとかですね。あとは、バットコントロールのやり方だったりとか、そういうのは長い時間教えてもらいました。

—打撃練習中には矢野監督からも熱視線をもらっていたが
矢野監督は常に選手を見てくれる。その人に合った話し方をしてくれますしそれはすごいありがたいことなのでその期待に応えられるようにしたいなと思います

—熊谷さんが愛されている様子が伝わってきました。人柄が見えている場面も多かったと感じました
いえいえ、まだ(チーム内では)猫かぶっていますよ(笑)。

—どういったところが?
まだ気を遣いながらやってるところがあるので(笑)。まだまだ隠していきます(笑)。

コーチからも可愛がられてる

打撃練習中、熊谷に熱視線を送る矢野監督

「大学に比べたら倍」。食事量は増え、練習量も増え、世界は広がった。

—プロですごいと感じた選手は
みんなすごいですね、特に外国人とか。今まで大学時代は外国人なんていなかったので。外国人のパワーとかは凄いなと。あとはやっぱり、山田哲人さん(現東京ヤクルト=履正社)とかはテレビで見たまんまなのですごいなと思いましたし、坂本勇人さん(現読売ジャイアンツ=光星学院)も、すごい、なんて言うんだろう、毎回打っているようなイメージがあったので、1軍にいたときは。その人たちはすごいなと思いました。

—東京六大学の選手たちとは対戦は?
いや、ファームで、こないだの宮崎でフェニックスリーグでやったぐらいですかね。慶大の岩見(現東北楽天)とか。それぐらいかな?それぐらいとしかやってないです。

—印象の変化などは?
いや、あのままですね(笑)。

—プロでは馬場選手(現阪神タイガース=仙台大)などと仲良い?
馬場さんは投手なので、普段の練習ではあまり絡むことは少ないですけど、寮生なので、寮にいるときはよく絡んでます。仲良い方なんじゃないですかね。
(—寮は2人部屋?)
1人部屋です。
(—隣は?)
隣は先輩ですね。長坂さん(現阪神タイガース=東北福祉大)と、竹安さん(現阪神タイガース=熊本ゴールデンラークス)かな、たしか。

—プロに入って体格が良くなった印象(筋肉量の増加)
まあ、プロに入っても全然細い方ですけど。大きくするというよりは、大学と比べて練習量も違うし。やっていく中で筋肉がついたとか、そんな感じだと思うので。でも別に増やそうと思って増やしてるわけではないので。なので、練習量の違いかなと思います。

—練習量はどのぐらい増えた?
大学時代に比べたら倍っすよ。倍振るし、倍守るし、倍ウエイトするし。本当に倍ぐらい、倍以上増えたんじゃないかなと思います。

—比例してごはんの量も?
練習量とごはんの量を考えながら取ったりしてますし、痩せちゃダメだって。この体重をキープするか、もっと増やすかしないといけないと思うので。その辺は結構難しいなと思います。

—素を見せられる選手は
基本素ですよ。騒ぐ場面は大学時代のようにはあまりない。大学では1〜4年とあったが、今は1年目で年齢も上から下までで。上は20歳ぐらい離れてる人や下でも4歳離れてる人もいるのでその人たちに合わせようとすると猫をかぶるというか騒げません。騒ぐ場所にいたら騒ぎますけど普段から騒いでいたら頭のおかしいやつじゃないですか。なので常に素ですけど場面をわきまえてるつもりです。社会人になったのでそういうことはいけないなと思いましたね。

—20も離れると接し方は難しいか
難しいっていうよりかは大人なので。自分らがどれだけ騒いだとしても大人に対応をされる。福留さんに馬鹿みたいに絡みにいってもそれは違うなと感じます。近い人だけなら騒いだりしますけど、年齢を考えてやっています。同じロッカーとか隣にいるとびっくりしましたね。

—びっくりするものですか
鳥谷さんとかずっとテレビで見ていた人なのでつい「鳥谷だ!」って言っちゃいそうになりましたね。けど、同じチームにいるので自分がプロになったかなと感じましたね。

—鳥谷選手は同じポジションですがお話しなどは
そんなのおこがましい。絡まれたら話すくらい。たまーにですね。野球の話はたまにしかしないですね。

—鳥と熊でセットでよく取り上げられますが
その話は一回したことがあります。けど、それもこう笑いに変えてくれる鳥谷さんの素晴らしさというかその感じがすごいかっこいいなと思ったので、自分から話しかけるなんて野球以外のことではないですかね。

—プロで一番驚いたことは
ロッカールームが各球場によって違うことが驚きですね。食事とかも違いますし。甲子園の1軍のロッカーとかは「ずっとここにいたいな」と思えるほどの椅子とかがありますしそういうのはすごいと思います。

—神宮に対する懐かしさは
懐かしいと感じますし、大学時代は広く感じたことが狭く感じました

沿道に詰めかけたファンにも丁寧な対応を見せた

両手に持ちきれないほどのプレゼントをかかえて沿道を歩く

「よっしゃもうMVPだな」。ファーム日本選手権MVPで締めくくったルーキーイヤー。

—ファームではウエスタンのMVPも
試合前は結構、ガチで狙いにいってたんで(笑)。結構集中してやったので、自分集中してやれば、良いプレーが出来るんだなと思いました。

—手応えは?
2本打った瞬間、「よっしゃもうMVPだな」って(笑)。あとはもう失策なく終われば、MVPを取れるんじゃないかっていうのはありましたけど。まさかこう、実現するとは思わなかったので。ちょっとびっくりした反面、「よっしゃあ」って感じでしたね(笑)。

—立大の後輩に報告とかは?
そんなの恥ずかしいのでしてないですよ(笑)。「おめでとう」ってくるぐらいなので(笑)。自分から「取ったぞー!」みたいなのは無いです(笑)。

—お祝いメッセージは誰から?
松﨑健造(今年度立大主将。文4=横浜)とかはめっちゃ仲いいんで(笑)。あとは誰だろう?忘れた(笑)。

—1軍での経験はどう捉えているか
1軍を経験できたのはすごく良かったですし、まさか1年目で。2ヶ月ぐらいなんですけど、そんなに長い期間いられるとは思っていなかったので。びっくりしましたけど、1軍では試合に出ないと意味はないので。その辺の悔しさは持ってますし、試合に出た時も簡単なミスがあったりとか、打てなかったりとか。そういうのを経験して。来年、いや今からものすごく頑張らないと来年はもっと厳しくなるのではないかと感じています。

—1軍と2軍の差は大きい?
差はないと思うんですけど、やっぱりすごく上手い人たちがプロ野球選手になってると思うので。お互い、チームですけど、競争で負けた人たちがファームにいるので。自分もですけど。競争に勝っていかないと、1軍の試合には出られないのではないかと感じています。

「自分のファンだけではなくて阪神のファンも」。貴公子はファンサでも魅せる。

—ファンからの人気は感じる?立大の時も多かったが…
嘘でしょ(笑)。そんなにいたっけ。うーん、多いですかねぇ。

(矢浪阪神タイガース広報 —多いよ(笑)。熊谷のタオル持ってる人いっぱいいる。)

うーん、けどびっくりしますね。自分でも応援してくださっている人がたくさんいるので。その人たちのためにも頑張らないと、という気になりますし。ファンが応援してくれるから自分の力になってますし。
自分だけのファンじゃなくて阪神タイガースのファンの人たちをなんとか喜ばせるために自分らが活躍するのが大事だと思うので。そのために練習をしっかりして、いいプレーをファンの皆さんに見せられたらなと思います。

—そういった気持ちがいいファンサービスにつながっている?
矢野監督がそういう方なので。監督がやってる以上は選手たちもやらなきゃいけない…やらなきゃいけないというよりは、監督以上に選手がやらなければいけないと思うので、自分からファンサービスしたりっていうのは矢野監督から教わったので。ファンを大切にしてやっていけたらと思います。

「大学4年の1年間はいい経験」。”主将”から”ルーキー”へ。

—ご自身のプロでの生活に生きている立大での経験は
キャプテンをやったことですかね。周りを見るようになりましたし。プロ野球は周りを見なければいけないですし、自己管理もしなきゃいけないので。キャプテンをやっていなかったら自分だけのことで終わったりとかもしてましたし。そういったことは大学4年の1年間は自分にとってすごくいい経験になったなと思っています。

—主将になったことでの重圧もあったと思うが、その時の切り替えは
入ってびっくりしたんですけど、矢野監督が「一打席一打席気持ちを切り替えていけ」ってことを言っていたし、エラーしても「次のプレーに気持ちを切り替えろ」ということを言っていました。それは自分が大学時代にずっと思っていたことなので。矢野監督に言われる前からできていたことなんじゃないかなと思います。
自分がどれだけ打てなくても守備で頑張ればいいやとか。ここで打てなくても次の打席で打てればいいやとか。そういった気持ちの切り替えは大学時代からやっていたので。

—松崎さん、後輩などと立教の話は
同じキャプテンをやっていたので。立大のキャプテンをどう思っているのかとかは話したことがありますし。キャプテンだからチームをまとめようとかではなく、まずは自分からしっかりしなければいけないと思っていたので。その思いを伝えたりっていうのはしたことがあると思います。

—「キャプテンだから自分がしっかりしなければ」という経験は今にもつながっている?
今はもう、全くですね。自分がしっかりしなきゃというよりは、周りのことをよく見ながら行動しなきゃいけないですし。周りを見ながらじゃなくて、自分から発信しなければいけないというのもあるので。自分がしっかりしようというよりは、目配り気配りを大切にしていきたいなと。

「来シーズンは1軍定着を」。2年目には虎のルーキーからエースへ。

—今日は誕生日。誕生日の思い出は
特にないかな。でも、去年はドラフト終わった後の誕生日だったのでそこは結構嬉しかったですし、高校の時のは神宮大会にでて初戦の前の日が誕生日だったんですけど自分の決勝打で勝てたので良かったです。

—来シーズンでの目標
来シーズンはまず1軍定着を目指してやっていきたい。1軍定着だけじゃなくてスタメンで試合に出られるようにして行くのが今の目標です。それをするためにはしっかりした土台を作っていかないと1軍にも残れないですしスタメンにもなれないと思うので、まずは今この時期を大切にして来年活躍した姿をみなさんにお見せしたいと思いますし、自分が活躍する姿を立大の後輩が見れば頑張らなきゃいけないなと思わせるようにしたい。

—どういった強化を
まずは1年間戦える体を作っていく。その中で12月、1月は体をしっかり作っていきたいですし、あとは左打席の打撃を改善して右も打てるようにしていきたいと思います。

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