【相撲部】どすこい!半世紀ぶりの快挙だ!
◆全日本学生選手権大会 2日目◆
11月4日 両国国技館
今年の立大相撲部は驚きのニュースばかりだった。3月、映画監督の周防正行氏(81年卒)が名誉監督に就任。その影響からか、二人の留学生がそれぞれ選手、マネージャーとして入部。7月には柔道部から助っ人として参加した長谷川(コ2)が東日本体重別選手権で3位に輝く快挙を成し遂げた。
そして11月。驚きのニュースは止まらない。シーズン最後の公式戦、インカレにて団体Bクラス8強という約半世紀ぶりの大金星を挙げたのだ。大半の大学が相撲経験豊富な選手をそろえる中、立大相撲部は5人のうち3人が助っ人。まさに、立大相撲部をモデルとした映画「シコふんじゃった。」の劇中シーンのようなことが起こったのだ。
前日のCクラス準々決勝に勝利したため、2日目はBクラス初戦・阪大戦からのスタート。先鋒、次鋒が立て続けに敗れ立大はあとがない状況を迎えた。この状況から中堅・小佐野(済3)が相撲部としての意地を見せた。続く副将・横田裕(法2=レスリング部)は相撲の動きにはないような動きで相手を困惑させ、見事に制した。大将戦は相手方の棄権により勝利。3勝2敗で次戦に駒を進めた。
2戦目の相手は関大戦。初戦を落としてしまう。「体格差を抗って、変なことしないと勝てないと思ったので、すごい頭をつかった」。二陣・青木(営4=柔道部主将)が相撲部員でもなかなか使わない二丁投げで撃破。続く中堅・小佐野が敗れ、1勝2敗。またもピンチを迎える。しかし“二刀流レスラー“・横田裕がチームを救う。「レスリングの動きを活かしてうまくできた」。開始から土俵上を騒がしく動き回り、体勢を変え続けた。果たしてこれは相撲なのだろうかと疑問に思うような様相。体勢を変える過程で相手が隙を見せる。その隙をついて土俵に押し出して勝利。望みを繋げた。さぁ大将戦だ。立大の大将は長谷川。夏の東日本3位から、学生相撲界で注目されつつある存在だ。坂田監督(1995年卒)曰く「プロからの誘いもある」とのこと。真偽は定かではないが、既に相撲部員と同等の扱いなのは確かだ。その長谷川は立ち合い直後、土俵際まで追い込まれる。しかし何とか体勢を変え、最後は力で押し出した。この勝利で立大は今世紀初の団体戦Bクラス8強を達成し、準々決勝へ。
準々決勝は強豪・法大と対戦。立大の先鋒は主将・横田奏(現4)。相撲部員でありながらこの日はまだ勝てていなかった。助っ人たちの活躍に黙っていられない。「出稽古に行ったときに100%のあたりで突っ込んで来るのはわかってたので、とりあえず当たってどっちかに動こうとは思っていた」。男は冷静だった。法大の選手は拳を地面につけると同時に猛進。それを上手くかわし、はたき込み。僅か2秒のことだった。主将は国技館で久し振りに吼えた。見事相手の動きが予想と的中。相撲歴16年の男ならではの勝利だった。後の4人は敗れ、1勝4敗で土俵を去った。しかし、今世紀初の快挙と主将の現役最終戦を勝利で飾ることができ、満足した表情だった。
この試合にて横田奏樹は16年間の相撲競技生活に幕を下ろした。「最初は助っ人を借りて試合に出るなんて信じられなかった」。高校時代にインターハイ優勝という素晴らしい経歴を引っさげて入学した彼にとっては、困惑の環境だった。結果を残せず悩んだ時期もあった。しかし男は練習をやめなかった。「みんな強豪に対しては胸を借りるつもりでいくけど、横田さんは本当に勝つつもりでやっているのでそこは学ぶべきところだなと思った」(小佐野)。勝利への執念は人一倍強かった。その執念が最終戦で勝利という形で現れたのだろう。以前、国技館はいい思い出がないと語っていたが、「皆で勝てたっていうのは最後にいい思い出に変わったかな」と言い残し、笑顔で土俵を去っていった。
来年創部100周年を迎える立大相撲部。今年の快挙は記念すべき来年の100周年に花を添えた。主将が引退した後は、3年部員の小佐野が現時点で唯一のプレイヤーとなるはずだったが、以前から助っ人として参加していた玉真(済2)が相撲の面白さに惹かれて、正式に入部することになった。選手1人という危機を乗り切った。来季の主将は“オサヌンティヌス“こと小佐野。試合のたびに関係者から褒められるほどの肉体の持ち主だ。もはや相撲選手とは思えない鍛え上げられた躰(からだ)でチームを引っ張る。人数こそ少ないが、いい波に乗っている立大相撲部。今年の快挙が常識に変わる日も遠くないだろう。来年度はどんな快挙を見せてくれるのだろうか。
(11月30日・渡邊大樹)
◆コメント◆
来季主将・小佐野
ーBクラスベスト8という結果を受けて
もうほんとに助っ人の人の力が大きかったなって。やっぱ横田先輩が頑張ってたんでそれにみんなが付いてきてくれてたなって思います
ー横田さんの不調についてどう感じていたか
稽古場では他の強豪の大学行っても横田先輩は勝ってるんだけど、試合になると緊張して本来の力が出せてないってのがあって、法政戦勝てたから良かったんですけど、このまま勝ててなかったら(※防衛大戦は勝った)遺恨が残ってたと思うんで、ほんとに法政戦で勝ってくれて良かったです
ー初日、個人戦では明徳義塾出身の強豪を倒したが
あれはほんとに胸を借りるつもりでいったんですけど、組んだら意外とこれいけるなって思って、やっぱりウエイトトレーニングの効果は出てるなって思いました
ー大阪大戦は勝てば昇格という試合で、自身は吊り出しで勝ったが
やっぱり組んで吊るってとこまでは自信があるので、組むとこまでいって安心しました
ー一晩挟んでの試合だったが
昨日の夜はマネージャーが撮ってくれたビデオを何回も見て、自分の立てた対策通りにできたかなって思います
ー続いての関西大戦は負けてしまったが
そこも100%で臨んだんですけど、組むことができなくて負けてしまいましたね。助っ人の力で完全に勝った試合なんで自分は不甲斐ないなって思いますね
ーその後の法政戦は横田さんだけが勝利。横田さんから見習うところはどこか
やっぱり気持ちの部分ですね。みんな強豪に対しては胸を借りるつもりでいっちゃうんですけど、横田さんは本当に勝つつもりでやっているのでそこは学ぶべきところだなって思います
ー今後強豪と戦う上で取り口で改善しなければいけないところはどこか
組んだら結構力で持っていけるので、組むまでのところ、立ち合いから組むまでが課題です。立ち合いですね
ー横田さんも先日のインタビューで立ち合いの重要性について語っていた
相撲はほんとに立ち合いで7割が決まるので、立ち合いを練習していきたいです
ー来年は主将として部を引っ張る立場だが
やっぱり部員が少ないっていうのは今までと変わらずあるんですけど、助っ人の人たちのレベルが高くなってきてるんで、もっと上を狙えるのかなって思います。助っ人の人たちとこれからも練習をしっかりとやっていきたいです
坂田監督
―チームの完成度
法政に出稽古行ったり、助っ人の方とかにも稽古に来てもらって、100じゃないけど80%ぐらいには持っていけたかな
ー助っ人たちについて
まず、感謝の気持ちがいっぱいで、忙しいなか助っ人さんの関係者にも感謝してます
―今日の試合、阪大や関大に勝てたが
もともと接戦になると思っていたので、大事なところで選手たちが頑張って勝ってくれたので今日の結果に繋がったのかなと、しっかりとウォームアップをして準備を出来たのも大きかったです
―4年生が抜けてしまうが
やっぱり50年ぶりのAクラスに出たいっていう目標は変わりません。そのために今まで通り練習っていうのと1番の問題点である、部員不足を解消するために気軽に相撲部に来てほしいですね
ー来年の副将の玉真について
まもなく100周年を迎える相撲部の歴史の継承者として、核になって頑張ってもらいたいですね。
副将・横田裕(レスリング部)
ー試合を振り返って
ギリギリの場面から自分に回ってくる場面が多かったんですけど、そこで勝てたのはよかったかなと思います。レスリングの動きを活かしてうまくできたかなと思います。
ー緊張、プレッシャーは
いやー、緊張しましたね。でもやっぱり全力でやるしかないだろうと思って、なんとか勝てたのでよかったです。でも自分よりデカイ相手だとなかなか勝てなかったので、そこを勝てるようにしたいです。
ーレスリングが相撲にいきてた場面
相撲でガッツリ廻しとか掴まれたら厳しいんですけど、レスリングの組手っていって手の動きとかを活かせたかなと思います。
ー相撲がレスリングにいきてる部分
バランスというか体の動き、あの狭いなかでやってるんで、その中で動くバランス、相手に押されても倒れないバランスの部分ですね。あと、もともとレスリングやってても押す力とかあまりなかったんですけど、そういう意味では相撲の練習とかは足腰にきていいと思いますね。
ー相撲での目標
自分よりデカい相手に勝てるようになったら楽しいだろうなと思いますね。
ー昨日を振り返って
昨日は、監督も言ってたんですけど、1試合目が肝で。それでけっこう防大が強いって話だったので。どうなるか分からないってところだったんですけど、みんな凄いアップから集中していって、いざ蓋を開けてみたら5-0で完璧に勝つことができて、いいスタートを切ることができたと思います。でもその分そこで途切れちゃって、東大で。まぁ僕も負けてしまいましたし。他二人も負けてしまったんですけど、まぁ今日に繋がったので、まぁ昨日の部分は忘れて、今日に向けて準備してきました。
二陣・青木(柔道部主将)
ー今日全体を振り返って
個人的には一勝二敗ってところで。まぁでも1回勝つことができたので、自分のなかではけっこうよかったなって思います。ただまぁ、2回負けてしまって、僕は4年生でまた挑戦する機会がもうなくて、最後の試合負けてしまったので、それは悔しい、悔いの残る部分ではあります。まぁその分柔道で発揮するでも、柔道で勝つでも、相撲部を応援するってカタチでもいいんで、そういった悔しい部分は晴らしていきたいなと思います。
ー体格差があったが、恐怖などは
恐怖とかはないんですけど、やっぱり体格差をどう抗って、ちょっと変なことしないと勝てないっていうので、すごい頭をつかってやってました。
ー自身のこれまでの相撲を振り返って
本当に貴重な経験をいろいろさせてもらって、そこはまず感謝ですね。立教の相撲部って立教のよさがすごい出てる部活だなって思いました。決して人数は多くないんですけど、その分皆が親密な関係を築けていて。OBのみなさんが積極的に応援してくださって、マネージャーの方もみんな一生懸命仕事してくれて、選手はそれに応える形で頑張ってて。こんないい部活なかなかないなって思います。柔道部にもいろいろ持って帰るべきものがあるなと感じました。
ー長谷川にむけてメッセージ
本当に期待してます。純粋に期待してます。僕は来年からも立教の関係者になるので、立教の体育会を応援して、強いては相撲部を応援してて。まぁ長谷川はずっと高校時代からずっと一緒に練習してる頼もしい後輩なので、あいつの底力はまだまだ相撲でもどんどん出せると思うので、ぜひ東日本3位で満足せずに、もっと上を目指して頑張ってほしいですね
大将・長谷川(柔道部)
ーインカレ全体を振り返って
今まで2年間横田さんとか他のマネージャーさんとかにもお世話になってたので、最後の関われる機会だったので貢献できたらいいなと思ってて、その面では最後負けたけど、3勝できたのはすごい嬉しいです。
ーBクラスベスト8について
なかなか味わうことができないことだと思うので、嬉しいです。
ー引退した4年生で特によくしてもらった人は
全員によくしてもらったっていうのもアレなんですけど、特に奥村さんとか横田さんは主将という立場だからかもしれないですけど、普段からよく声かけていただいてました。