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【ボート部】岩崎かえで高校以来のシングルスカル!目標には届かなかったものの次の大会に向け、「こんなもんじゃないぞって、ホンマに見せつけたりたい」 

大学に入学して、初めての「シングルスカル」。レース距離は、「1000メートル」。2つのピースが、高校時代を想起させた――

スタート地点に向かう岩崎

10月13、14日に開催された第41回東日本新人選手権大会。1年生の岩崎かえで(法1)は高校以来となるシングルスカルで出場した。予選を2位通過し、迎えた決勝戦。スタート時についた差を最後まで埋めることができず、5位。「優勝しか見ていなかった」彼女にとって、あまりにも悔しい結果となった。大会後のインタビューでは、「不甲斐ない気持ちでいっぱい」とため息をこぼした。

母校・大阪市立桜宮高等学校ホームページでは、“ごっつすごい”賞状を手に、満面の笑みを見せる彼女を確認することができる。高3時のインハイで5位入賞。岩崎かえでは全国でも優れた選手の1人だ。「今までやってきた回数でいうとシングルが一番多い」。“経験”も、“記録”もあるシングルスカルでの出場に、自信がないわけがなかった。

この日、エース・角谷はカメラマンに専念した

今大会にはもう1つ、高校以来となるものがある。それは、距離。大学の大会のほとんどが2000メートルで行われるのに対し、高校は1000メートルが主流。スパートをかけるタイミングなど、駆け引きが大切になってくる2000メートルレースに対し、1000メートルレースではスタート時の瞬発力がカギを握る。「同じ競技でも全くの別物」。レースの運び方が、根本的に違う。大学入学後は2000メートル先のゴールを目指し、トレーニングを積んできた。

しかしそれでも、「シングルスカル」と「1000メートル」という2つのピースに、期待せざるを得なかった。勝利への方程式は、完成しているかのように思われた。

「こんなに難しかったっけ」。慣れ親しんでいるはずなのに、慣れない。久しぶりに再会したシングルスカルは、まったくの別物になっていた。大学入学後は、すべての大会に1本のオールで漕ぐスウィープ種目に出場。2本のオールを操るスカル種目での出場は、今大会が初となった。「新鮮な感じがした。扱い方とか、適応しきれなかった」。

レース後、落ち込む1年生を支えたのは、立大エースの角谷(コ3)だった。「こんなもんじゃないよ。大丈夫。ここからだよ」。大会前から後輩を気にかけ、積極的にサポートしてきた角谷。大会1日目が終わった後にも、「一緒に乗ってあげるよ」と声を掛け、課題解決に一緒に取り組んだ。「すごいお世話になった」。その後の他のレースを、岩崎に寄り添って観戦していた角谷の姿からは、深い優しさが感じられた。エースは、人柄の面でも金メダル級だった。

今大会の点数を聞いたところ、返ってきた答えは「7点」。もちろん、100点満点中の7点評価だ。11月9日からは、全日本新人大会が始まる。まだクルーは決まっていないが、「シングルだったら、“こんなもんじゃないぞ”って。ホンマに見せつけたりたい」。悔しさを覗かせながらも、そう語る彼女の目は力強く、そしてどこまでもまっすぐだった。

大会1日目の夕食は『唐揚げの梅みぞれ煮』。あまりにもおいしかったので、「マネージャーさん探して、“おいしかったです!”って伝えてしまった(笑)」。他人に自分の考えをうまく伝えられない若者が増えている現代社会において、彼女は稀有な存在。果てしなくピュアだ。感動的な映画を見れば7分で涙を流す。そんなまっしろ1年生には、まだ93点分の伸びしろがある。「大丈夫。ここから」。光り輝く未来は、必ずそこにある。

(10月25日・合田拓斗)

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