
【水泳部】不屈の精神で戦い抜いた4年間 声援を背に見せた力泳 日本学生選手権 男子200㍍背泳ぎ 銅 山下 「長年の努力が実った」

表彰台で笑顔を見せる山下
掉尾を飾る
3年間惜しくもメダルに手が届かず迎えた最後のインカレ。山下の切なる思いは今大会に託されていた。予選では安定した泳ぎを見せ、決勝に進出。目標へのラストチャンスを前に不安が胸に広がっていた。スタートが迫り、会場が静まる瞬間。観客席から仲間の声援が響く。「絶対勝てるぞ!」。聞き慣れた声をきっかけに自然と気持ちが落ち着いた。やってきたことを信じよう。山下の気持ちのスイッチが切り変わった。スタートを切ると、序盤はペースを抑え後半の追い上げに体力を温存する。最後の50㍍をターンし一気にギアを上げて勝負に出た。上位に躍り出ると3人でメダルを競い合う。一掻き一掻きにはしる緊張感に目標への思いが拍車をかけた。ゴールに手をつくと耳に入ったのは仲間の歓声。僅か0・04秒差の戦いを制し、緊迫した空気からの開放に安堵の表情を見せた。「やっと努力が報われた」。満を持して上った表彰台では思わず涙が込み上げる。山下の手には栄光のメダルが輝いた。
勇猛邁進
華々しい結果で終えた立大での競技生活。そこにはひたむきに水泳に挑む姿があった。入学当初はタイムが伸び悩み順調なスタートを切ることができなかった山下。練習の手ごたえと試合結果のギャップに苦しむ日々が続く。泳ぐことが嫌になり競技から距離を置くこともあった。転機となったのは、同年に行われた国際大会代表選考会。地道な練習により自己ベストを更新し、シニアを交えた大会で決勝初進出を果たす。「やっと大学レベルの水泳に近づいた」。努力の実りが大きな自信をもたらす。大学水泳の世界でたちまち頭角を現した。学年を重ねるごとに芽生えたのは先輩としての自覚。最高学年では主将を務め、部をけん引する。目指した姿は言葉だけでなく、結果で引っ張るリーダー像。主体性を重んじる立大水泳部の主将として、自分らしさを模索した。理想を追い求め努力を怠らなかった1年間。山下の背中は自然と部員を惹きつけ、共に高め合う一体感を作り上げた。輝かしい結果で有終の美を飾った今大会。心を新たに五輪出場という大きな目標を掲げた。山下のあくなき向上心は加速し続ける。(逸見若菜)

力強い泳ぎを発揮する様子
【陸上競技部】創部史上初の偉業 逆境を乗り越え勝ち取った栄冠 全日本インカレ 女子10000㍍ V 小川 「ラストで勝ち切れた」

先頭でゴールし、歓喜の笑顔を見せる小川
学生日本一を決めるトップレベルの大会。小川が10000㍍において、見事優勝を果たした!今年はけがに苦しむ時期もあったが、練習を見つめ直し努力を重ねる。磨いたスピードと持久力が光り、完全復活を遂げた。
復活の一戦
全国の猛者たちが揃う最高峰の舞台。スタートラインには真剣な面持ちの小川が立つ。表彰台入りを目指し、勝負の一戦に挑んだ。レース終盤での駆け引きが鍵となる長距離。10000㍍の経験 が浅い小川は最後のスパートに命運をかけた。号砲が鳴り響き、先頭集団の後方で駆け出す。体力温存のため余裕を持った走りを意識した。観客席から聞こえる仲間のエールに気を引き締める。「結果を出すことで声援に応えたい。」冷静に試合展開を見極め、先頭に飛び出す機会をうかがった。心理戦が続き、レースはこう着状態のまま残り1周の鐘が鳴る。「ここしかない」。ラスト400㍍で勝負を仕掛けた。集団から一歩抜け出し、先頭に躍り出る。勢いのまま他の選手を突き放し、優勝争いは上位3名まで絞られた。後続の猛追をしのぎ、最後まで集中力を切らさずゴールラインを駆け抜ける。創部史上初となる全日本インカレのタイトルを獲得した。レースを終えた小川は真っ先に安堵(あんど)を覚える。半年ぶりの好成績に練習成果を実感。苦難を乗り越えた立大のエースは再びトラックに返り咲いた。
奮励の結晶
昨年は関東インカレ2位入賞などの好成績を残し、大活躍の1年となった小川。しかし4月に左足のじん帯を故障する。けがを考慮した練習メニューを組むも、復帰直後に挑んだ公式戦の結果は18位。前回の順位を大きく下回る結果となった。故障前の走りを取り戻すため、今季は他大学の合宿にも積極的に参加する。以前からトップレベルの大会で競い合ってきた好敵手と共に練習を重ねた。小川の設定タイムより高い基準で走り込む他の選手を前に、自身のメニューの甘さを痛感。「成長のためには挑戦しなければいけない」。合宿を乗り越えた彼女は以前より高水準な目標設定を意識し、練習では1㌔あたりのタイムを約10秒短縮。記録の向上を目指し、より速いペースで自身を追い込んだ。苦しい時期も心の支えとなったのは応援してくれる人の存在「もらった期待に結果で応えたい」。恩返しの思いを原動力に、練習に打ち込む。スピードと持久力を鍛え、見事全日本インカレを制した。次なる目標は来年のユニバーシアード出場。選考を兼ねた運命の決戦まで残り半年を切った。夢の舞台へ駆け出した若きトップランナーの挑戦は止まらない。(新藤優子)

トラックで力走する様子