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立教スポーツ254号

2024年10月3日更新

【ラグビー部】持ち前のアタックで存在感示す 26年ぶり!立大から代表輩出 西 パリ五輪出場 「チームを引っ張る存在になりたい」 

トライラインへ滑り込む西(ス2)

4年に一度の祭典・オリンピック! 西亜利沙が現役立大生としては26年ぶりの出場を果たした。唯一の大学生として、女子セブンズ代表に内定。苦しいけがを乗り越えパリの地に挑んだ。強みである正確なキックと味方を生かすゲームコントロールで勝利に貢献。初出場ながらも大きな存在感を放つ。表彰台には及ばなかったが、彼女のプレーは大観衆の心を強く引き付けた!

夢見た景色

花の都にサクラ咲く。チーム最年少として日の丸ジャージに身を包み五輪へ臨んだ西。7万人のJAPONコールを背に躍動した。今年6月、最終代表選考合宿が行われた。全国から集まる精鋭のうちパリへの切符をつかむのはわずか12人。激化するポジション争いのなかけがから復帰した西は当落線上にいた。「代表に選ばれなくてもこれまでの準備に悔いはない。」 年上の選手に囲まれながらも、己を信じがむしゃらにプレーを続けた。迎えた選考発表。正確なキックと相手に仕掛けるランが評価され代表に内定。パリの地で輝くべく心技体を高め、研さんを重ねた。予選リーグを1勝2敗で終え、進んだ9位決定戦。19点リードで試合を折り返すと、後半2分に西が途中出場。縦を突く鋭いランをみせ、攻撃を勢いづける。素早い球出しから味方のトライをアシスト。続くコンバージョンキックも正確に沈めた。その後も献身的な守備で主導権を譲らない。選手たちの奮闘が実を結び過去最高順位へと導いた。メダル獲得が目標だった今大会。「もう一度世界の舞台で自分のプレーを体現したい。」 彼女の目はロス五輪へ向け、熱意に燃えていた。主力としてチームに尽力することを誓い、これからも世界へ挑み続ける。

苦闘の道のり

憧れから目標の舞台へ。幼いころから夢見た念願のピッチに立った西。日本代表への思い入れは人一倍強かった。父親の影響で5歳から始めた競技。力の差がある男子と対じするなかで生まれた強い負けん気。「高校ではラグビーに専念したい。」さらに高いレベルを求め、親元を離れて強豪校への進学を決意した。主将としてチームを全国大会へと導いた高校3年次、初めてU 18 代表入りを果たす。世界で日の丸を背負った西は次第にオリンピックを目指すようになった。順風満帆な競技人生を送ってきたが、昨年夏に予期せぬ壁に当たる。初めてサクラセブンズとして出場する大会を目前に左脚を損傷。けがを隠して出場することも考えたが、チームのために辞退を決断した。「焦っても仕方ない。」万全な状態で勝利に貢献するため、五輪に向けた準備へ思いを新たにした。特に弱みとする一対一のディフェンスを強化。1歩目の反応を重視することで力強いタックルが生まれる。身体の大きな外国人選手にも果敢に立ち向かった。苦難を乗り越え大きく成長した西。「小さなことからコツコツと。」 大輪のサクラを咲かせるべく、日ごろの努力の積み重ねを大切に鍛錬を続ける。若きオリンピアンの活躍はまだ序章に過ぎない。

(相場樹)

懸命にボールを運ぶ様子

【陸上競技部】江戸紫のたすきが伊勢を彩る! 昨年の涙を糧に目標の場所へ 全日本駅伝初出場へ

喜びを爆発させる選手たち

大学駅伝関東地区予選。代表8名の1万㍍合計タイム上位8校が全国へ進む。今年は下級生の活躍もあり、2組終了時点で予選通過圏の立大。迎えた勝負所は経験豊富な國安と、昨年のリベンジを誓う林に任せられた。

エースの再起

昨年14秒差で届かなかった全国の舞台。「初の偉業を達成する」。トラックには闘争心を燃やす選手の姿があった。前大会、本調子で出走できなかった林。悔しさを糧に3度目の挑戦に臨んだ。今年は連戦でもタフに走り抜けるようコンディション維持に注力。デバイスを常に身につけ身体の変化を可視化した。睡眠データの記録や体重増減に応じた水分量の調整。徹底的な管理によりベストな状態で競技に打ち込めるようになった。立教への声援が会場に響くなか3組が出走。序盤はハイペースな展開となるも安定的な走りを見せる。集団が動いたのは残り1100㍍付近。飛び出した石田(東洋大)を國安が追う。重要な局面で林も負けじと食らいついた。終盤でも粘り強い疾走を見せ、2着でゴール。「主力としてチームに貢献できてよかった。」レース後、笑顔で3着・國安とハイタッチを交わした。創立150周年の節目に新たな歴史を刻んだ今大会。創部史上初の全日本駅伝出場を決めた。

進化の契機

新監督との第一戦に臨んだ駅伝チーム。成功の鍵は練習改革による着実な土台作りにあった。4月、髙林監督の新体制が始動。レース後半の失速を克服するため、地道な基礎練習に重きを置いた。ジョグや距離走に加えたスピード走を行い、苦しい場面でもペースを保てる体力を養う。さらに練習での厚底靴使用を禁止し、怪我リスクを軽減。本来の足の使い方を改めて意識させた。精神面では練習や試合で一喜一憂しないことを常々伝える。「予選は通過点でしかない。」長期的に結果を捉え、挑む過程を大切に取り組む。プレッシャーのかかる本番でも過度な緊張をせずに集中できる環境を作り上げた。監督の教えがチームを勝利へと導いた今大会。積み重ねた努力が結果となり、部の士気は一層高まった。いざ伊勢路へ。「挑戦者として堂々と戦いたい。」立教健児は大舞台に駆け出していく。

(渡邉公実子)

並走する林(コ4)と國安(営3)【撮影・佐々木海緒】